創業者紹介

古民家サロン KIZMO(キズモ)

川村 桜

Sakura Kawamura

自分らしく好きをカタチに!
人とのつながりを大切にしながら
地域活性化にも貢献していきたい。

川村 桜36years old

Sakura Kawamura

福岡県北九州市出身。地元の美容専門学校を卒業後、大阪のヘアサロンに就職。6年間働いた後、Uターン。まつげサロンに就職し、アイリストとしての技術を磨く。結婚を機に夫の地元である山口県へ移住。宇部市のヘアサロンでアイリストとしての経験を積んだ後、2021年2月に「KIZMO」をオープン。
 
KIZMO
創業:2021年2月
住所:山陽小野田市厚狭1-6-1
HP:https://kizmo-kizmo.com/

美容師やアイリスト、子育ての経験を生かして、山陽小野田市の厚狭商店街に「KIZMO」をオープンされた川村さん。好きな仕事で自分らしい生き方を実現するために、起業という道を選択されました。アイリスト・ヘアスタイリストとして夢をかなえた川村さんに、創業までの道のりや現在の状況、これからの展開などについてお話を伺いました。(取材日:2021年11月25日)

これまでの経歴をお聞かせください。

北九州市の高校を卒業後、美容師の資格を取るために専門学校に進学しました。その後、大阪のヘアサロンで6年間働いた後、北九州市にUターン。まつげサロンで働きながら、仕事の幅を広げるためにアイリストとしての技術を習得しました。結婚を機に山口県宇部市へ移住。夫の先輩が経営する美容院の一角をお借りして、まつげパーマやまつげエクステンションなどの施術を行うアイリストとして働き始めました。

ご自身のお店を持とうと思われたきっかけを教えてください。

「いつかは自分のお店を持ちたい!」という夢は持っていましたが、目の前のことに追われてなかなか一歩が踏み出せないでいました。でも、「そろそろチャレンジしてもいいんじゃない? 応援するからやってみたら?」と、夫に背中を押されたことで気持ちが固まりました。自分のお店を持てば、提供するサービスも内装も自分の好きなようにできます。自分のこだわりを詰め込んだお店を作りたいという思いが膨らんでいきました。

どうして、この場所でお店を開こうと思われたのですか?

2人目を妊娠中にテナントを探し始めたのですが、なかなかコレという物件に出合えませんでした。良い物件が見つかっても、思ったよりも家賃が高かったり、好きなようにリフォームできなかったり…。それで、空き家探しへと方向転換することにしました。すると、すぐに夫がインターネットで厚狭商店街にある築100年の古民家を見つけてくれました。江戸時代に参勤交代の大名行列が行き来していたという歴史ある周辺の雰囲気、そして近隣に新しいお店がポツポツと増えている状況を見て、このまちに大きな可能性を感じました。さらに、自宅から車で15分と近かったこと、そして価格も以前の1/5に値下げされていたので、今が買い時だと思い、即決しました(笑)。

創業にあたってどんな準備をされたのですか?

物件を購入したものの、創業にあたって何から手をつければいいのかわからない状態だったので、まずは山陽商工会議所に足を運んでみました。そこで創業セミナーのことを知り、資金繰りやマーケティング、事業計画書の書き方などを一から教わりました。事業計画書は、中小企業診断士の先生に相談して何度も練りなおしました。1年後の売上目標など、具体的な数字に落とし込む作業をすることで、徐々に創業のイメージをつかんでいくことができました。地域で活躍されている先輩経営者のお話を聞けたり、交流会を通じて異業種の方と知り合うこともできたりと、横のつながりも生まれたので、参加して本当に良かったなと思います。

創業資金はどのように準備されたのですか?

古民家や備品の購入は全て自己資金、改装費は金融機関からの融資でまかないました。また、山陽小野田市空き店舗等リニューアル補助金を活用して、トイレを新しくすることができました。創業後3年間交付される山陽小野田市創業応援事業補助金は、コロナ禍の中、事業を継続する上での助けになりました。ワンストップで創業支援を受けられる山陽商工会議所に行かなかったら、こうした補助金の情報を知ることができなかったと思うので、最初に足を運んだのは正解だったと思います。

そのほか、創業で苦労されたことはありますか?

コストを下げるために、電気や水廻り以外の大部分を自分たちでリフォームしました。壁や天井を取り壊しては瓦礫を運び出すの繰り返し。過去に水害で浸水していたこともあり、泥を運び出すのが大変でした。まだ子どもが産まれて間もなかったので、抱っこ紐でおんぶしてホコリまみれになりながら改修し、無事2021年2月に創業することができました。

創業に向けて不安はありませんでしたか?

何よりも不安だったのは、お客様に本当に来ていただけるかどうかということでした。そこで、古民家を改修する前段階からSNSで情報を発信していきました。それがきっかけで商店街の人と仲良くなり、各店舗にチラシを置かせてもらったり、お友達を紹介していただいたりと、少しずつ認知度を高めていくことができました。

工夫されたことはありますか?

お客様に興味を持っていただくために、店のつくりも、宣伝ツールも、敢えて何屋かわからないようにして、イメージが限定されないように工夫しました。大切にしたのは、何屋らしさではなくて「自分らしさ」。インパクトのある名刺や宣伝ツールを作成して、個性を前面に打ち出しています。商店街に溶け込ませるような外観にしたのですが、あまりに馴染みすぎて店だと分からず素通りされることも(笑)。派手なピンクの自動販売機を設置してから、たくさんの人に認知していただけるようになりました。

現在の状況はいかかがですか?

当初はまつげの施術だけを考えていましたが、中小企業診断士の先生から特色を出した方が集客しやすいというアドバイスを受けて、子育て世代をターゲットにしたキッズカットや親子カットもメニューに加えました。そこからご家族で来店されるお客様が増えていきました。ママがまつげの施術を受けている間に、パパとお子さんが商店街を散策されるなど、商店街との相乗効果も生まれています。また、まつげの施術やカットだけにとどまらず、空きスペースを利用して、洋服やハンドメイド作家の作品なども販売しています。

集客のためにどんな努力をされていますか?

最初はお客様からの依頼に応えるだけで精一杯でしたが、少しずつ「美容液を使われてみてください」「長さが足りないのでまつげパーマよりもまつげエクステをおすすめします」など、個々のお客様に寄り添った接客を心掛けるようにしていきました。また、施術した後に「その後いかがですか?」とメールを送ったり、ビフォアー&アフターの写真を送ったりと、お客様とのコミュニケーションを絶やさないことも心掛けています。地道な努力の甲斐もあって、徐々にリピーターが増え、毎月の売上の見通しが立てられるようになりました。

起業してみて良かったことは何ですか?

経営者仲間ができたことです。個人事業主だと、孤立しやすく一人であれこれ抱え込んでしまいがちだと思います。商店街に店をオープンしたことで、悩みや喜びを共有できる仲間ができたので、安心して商売を続けることができます。また、改修しているときから「楽しみにしているよ」と温かい言葉をかけてくださる方が多くてビックリしました。「SNSを見ているよ!」「頑張ってね!」と応援してもらえて、このまちで起業して良かったなとつくづく感じています。

今後の目標や展開をお聞かせください。

商店街の若手経営者が中心となってくじ引き大会や来店客への特典プレゼントなどのイベントを計画しています。その他には、好きな洋服を販売したり、2階の空きスペースを活用してハンドメイドなどのワークショップを展開したりしたいと思っています。商店街を舞台にしたマルシェや子どもたちが手掛けるおもちゃのフリーマーケットなども企画してみたいですね。創業で広がった人とのつながりを生かして、県外からも人を呼べるようなモノやコトを生み出し、楽しみながら地域を盛り上げていきたいと思っています。

最後に、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

創業前から「こんなことをしたいんです!」とたくさんの人に伝えてつながりをつくることが大切だと思います。私は勢いで物事を進めてしまうタイプなのですが、振り返ってみると、物件を購入する前から商工会議所に足を運び、いろいろな人に事業内容を共有できていたら、もっと応援の輪が広がっていたかもしれません。引っ込み思案な人も、ぜひ勇気を持って人と話してみてください。自分の考えが整理されて、新しいアイデアも出てくると思います。