創業者紹介

Hikari Brewery
篠原 英明
Hideaki Shinohara
東京から山口県に移住創業。
光市のいいものを取り入れた
クラフトビールでまちを元気に!

篠原 英明59years old
Hideaki Shinohara
柳井市出身。福岡県の大学を卒業後、東京の企業に就職しIT系の仕事に従事。58歳で早期退職。2024年7月に山口県にUターンし、妻の地元の光市に暮らす。1年以上かけて準備し、2026年1月7日にクラフトビールの醸造を手がける「Hikari Brewery」を創業。現在、初めてのビールを醸造中で、2026年4月に販売を開始予定。
Hikari Brewery
創業:2026年1月
住所:光市室積中央町6-6
Instagram:https://www.instagram.com/hikari_brewery/
これまでの経歴をお聞かせください。
柳井市の出身で福岡県の大学に進学し、卒業後は東京の企業に就職しました。IT系の仕事に従事していましたが、58歳で早期退職し、2024年7月に妻と一緒に山口県にUターンしました。その後、準備期間を経て、2026年1月7日にクラフトビールの醸造を手がける「Hikari Brewery」を創業しました。
どうして山口県にUターンされたのですか?
上京した当初から、いずれは山口県にUターンすると決めていました。転勤で福岡や名古屋にも住みましたが、やっぱり山口県が一番。出身地の柳井市ではなく光市を選んだのは、私が光市の海にすっかり魅了されてしまったからです。年に数回、帰省していましたが、そのたびに「このまちに住みたいな」と思っていました。
なぜ「Hikari Brewery」を創業されたのですか?
「60歳で定年退職したとして、年金が受給できるまでの数年は何か仕事をしないと」とずっと頭にありました。どこかに就職するという選択もありますが、せっかくの第二の人生ですから、どうせなら好きなことをしようと思ったんです。その時に思い浮かんだのがお酒造りでした。調べたところ、お酒の中で一番作りやすいのがクラフトビールで、しかも当時は醸造所が全国に800箇所程度しかなく、この数だったらビジネスチャンスがあるかもしれないと考えました。何より東京ではクラフトビールを飲みに行くことが結構あり、自分の理想のビールを作るのは面白そうと思ったんです。家族に相談しても特に反対されなかったので、早期退職を選んで「Hikari Brewery」を創業しました。
「Hikari Brewery」のクラフトビールの特徴を教えてください。
基本的な3つの原料である大麦、ホップ、酵母はごく一般的なものを使用していますが、水は光市のおいしい水を使っています。種類によっては、光市の室積で製造される海水塩を使ったりと、地元のいいものを取り入れています。私が作りたいのはただおいしいビールではなく、一人でも多くの方に光市の魅力を発信できるビール、光市について知ってもらえるビールです。ラベルに描いた灯台は、室積の象鼻ヶ岬にある灯台をイメージしたもので、このビールが光市のものを使って発展していく、そして、光市自体もこのビールを通じて発展していく、という願いを込めています。
創業にあたりどのように準備を進められましたか?
2024年7月にUターンし、8月から創業準備に取りかかりました。まずはインターネットで山口県のブルワリーを調べて岩国市と周南市のブルワリーに挨拶に行き、周南市で開催されたビールフェスにも足を運んで同業者との関係を築いていきました。クラフトビールを製造される皆さんは、同業者をライバルとして意識するというより、「クラフトビールを一緒に盛り上げたい!」という人が多いので、まずはできるだけ多くの方とつながることに尽力しました。また、いろんなクラフトビールを購入して、価格の相場や味わいを研究していきました。それらと並行して、2025年1月から福岡県の糸島にある醸造所で約3ヵ月の醸造研修を行いました。物件探しは東京在住時から少しずつ始めており、Uターン後、本格的に取り組んで現在の場所に決めました。もともとは洋品店やリハビリステーションに使われていたそうで、自由に改装していいと言っていただけたのが決定打になりました。ほか、原料の仕入れ先や製造に必要な器具や備品などの情報もインターネットで収集していきました。
創業資金はどのようにして準備されましたか?
自己資金と金融機関の融資、「やまぐち創業補助金」※を活用して準備しました。創業資金の主な用途は改装費と醸造用タンクの購入費などで、「やまぐち創業補助金」は瓶詰めしたクラフトビールを保存する業務用の冷蔵庫の購入にあてました。資金については、まずは光商工会議所に相談に行き、融資をお願いする金融機関をご紹介いただきました。「やまぐち創業補助金」の情報は、その時にご紹介いただいた金融機関の方に教えていただきました。
※山口県からの補助を受けて実施する、(公財)やまぐち産業振興財団の補助事業
事業計画書はどのように作られましたか?
会社に勤めていた頃に事業計画書を作っていましたので、必要な情報を集めて落とし込んでいく作業でした。勤めていた会社とクラフトビールの醸造所では事業が全く異なりますが、盛り込まないといけないものは把握していましたので、そういった部分は意識しながら作りました。作った事業計画書を金融機関に持ち込んで、不足部分を教えてもらい、そこを補って完成させていきました。事業計画を立てる中、58歳で融資を受けることになりますから、返済金額や返済期間などの設定や調整が一番大変でした。数字を合わせることももちろんですが、現実に心がポキポキと折られることもありました。ただ、苦労して事業計画書を作ったからこそ、うまくやっていける方向性を見出すことができたのも事実です。
創業準備の段階での反省点を教えてください。
しっかり制度についてリサーチし、「やまぐち創業補助金」を早く知っておくべきだったと反省しています。実は情報を得た時点で、すでにほとんどのものを購入済みだったんです。ただ、醸造免許を取得するには、醸造所や醸造用タンクがすでにあることが条件なので、早めに揃えざるを得なかったこともあり、仕方ないと言えば仕方ないのですが…。業務用冷蔵庫に関しては2社のうちどちらかにするかを迷って購入していなかったので、ありがたく活用させていただきました。創業に関する単発のセミナーは参加していましたが、もしかすると創業塾など連続したものに参加していればもう少し早く情報を得ることができたのかもしれません。いずれにせよ、アンテナを張っておくことは大切ですね。
創業後、現在の状況はいかがですか?
口当たりが優しく、魚料理などに合うホワイトビールタイプの「凪-nagi-」、少しだけホップを効かせて、ちょっとだけ苦味を味わえる、肉料理におすすめの「漣-sazanami-」、ホップを結構効かせた苦味のある「濤-onami-」の3種を開発中です。すでにこの醸造所での初めてのクラフトビールは仕込んであり、完成を待っている状況です。本格的な販売は始まっていませんが、以前、OEM醸造で作ったビールで試飲会を開いたところ好評で、地域の方から「いつできるの?」とお声をかけていただくことも多く、楽しみに待ってもらえているのがとても嬉しいですし、励みになっています。すでに卸先が決まりつつあるので、しっかりと製造していきます。
現在のワークライフバランスはいかがですか?
通勤がなく、始業時間・終業時間もなく、自宅に戻っても調べ物などしていて、1日中仕事をしているような感覚はありますが、仕込み終わると待つ時間ができて、その間はインスタグラムをチェックしたり、自由なひとときを過ごしている…、というように、仕事とプライベートの境があまりないような状況です。会社勤めの時より心にはゆとりがあるので、私にはこの働き方が向いているんだと思います。ただ、ビールが完成して瓶詰めやラベル貼り、発送作業などが始まると慌ただしくなるので、今のゆとりある状態がいつまで続くかはわかりません(笑)。
創業して良かったことは何ですか?
私はこの室積地域の出身じゃないのでほとんど皆さん知らない方だったのですが、「ビールを作っているんですよ」とお話をさせてもらう中で、知り合いが増えたことが一番良かったです。そして、知り合えた方々と、「こんなことをやってみたい」「あんなことができるね」などと自然に会話が弾み、徐々にきずなが深まっているのを感じられるのがとても嬉しいです。
今後の目標を教えてください。
まずは光市公認の土産物に育てていくこと、そして、光市の飲食業や製造業の皆さんとコラボして新しい商品を開発していくことです。実はすでに市内の企業とクラフトビールの共同開発をしていて、完成を楽しみにしているところです。やってみたいのは、光市のフルーツや、冠梅園が有名な光市ならではの梅を使ったクラフトビールの開発です。それと、海岸沿いに素敵な飲食店が結構あるので、樽で卸させてもらえたらなと思っています。売っていくことももちろん大切なのですが、一番大きな目標は、やっぱり光市やこの地域の皆さんと一緒にビールを使ってまちを賑やかにすることですね。光市をみんなで元気にしていきたいです!
最後に、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。
計画はしっかりと立てることをおすすめします。ただ、計画通りには多分いかないことが出てくるので、あまり計画にこだわりすぎず、いろんなことに挑戦してみることも大切だと思います。壁にぶつかれば、その壁を壊す方法もあるだろうし、乗り越える方法もあるだろうし、回避する方法もあります。いろんなやり方をしながら、目標に向かって進んでいくことが一番じゃないでしょうか。実際、私もそうやって今に至っています。私でよければいつでも醸造所をお尋ねください。実は私と同じく東京から移住してこられた方が、お隣で古本屋を始められます。クラフトビールが飲める古本屋にされる予定なので、そちらでゆっくりと語らいましょう。









