創業者紹介

泊まれるカフェ 龍さん家
龍 竜馬
Ryoma Ryu
自然豊かな萩市田万川に
地域と人とをつなぐ
新たな交流拠点を創造。

龍 竜馬39years old
Ryoma Ryu
鹿児島県奄美大島出身。高校を卒業後、大学進学を機に福岡県へ。卒業後は製薬会社に就職し、そのまま福岡県で勤務。愛知県への転勤を経て、2021年10月に地域おこし協力隊として妻の実家がある萩市に移住し、任期中は田万川地区の活性化に取り組む。任期終了後の2024年11月に創業し、翌年5月に「泊まれるカフェ 龍さん家」をオープン。
泊まれるカフェ 龍さん家
創業:2024年11月(オープンは2025年5月)
住所:萩市江崎1209-1
HP:https://ryusanchihagi.wixsite.com/my-site
これまでの経歴をお聞かせください。
出身は鹿児島県の奄美大島で、福岡県の大学を卒業後、製薬会社に就職しました。九州・山口エリアの担当になったのでそのまま福岡県に住み続け、数年後に転勤で愛知県へ。その後、2021年9月に退職した後に、萩市に移住し、翌10月から地域おこし協力隊に着任しました。協力隊の3年間は田万川地域の活性化に取り組み、任期終了後の2024年11月20日に萩市で創業し、2025年5月に「泊まれるカフェ 龍さん家」をオープンしました。
どうして山口に移住されたのですか?
妻の実家が萩市で遊びに来ることが多々あり、いつか住んでみたいと思っていました。愛知県に転勤してからは、その気持ちがさらに大きくなり、インターネットなどで仕事を探すのが習慣に。そんな時に見つけた面白そうな仕事が地域おこし協力隊として取り組む「田万川地区の活性化」でした。妻も賛成してくれたので家族4人で萩市に移住してきました。
どうして「泊まれるカフェ 龍さん家」を創業したのですか?
萩市に住みたい一心で移住してきただけなので、最初から創業を決めていたわけではありません。任期終了後はどこかに勤めてもいいし、創業してもいいし…と、仕事はなんでもよかったんです。ただ一つ、萩市にあったらいいなというものを見つけ、自分の手でそれをつくりたいとは思っていました。そんな思いも抱えながら協力隊としてミッションに取り組んでいくうちに、妻と「田万川地域に交流できるような宿があったらいいよね」と話すようになりました。当時、田万川には宿が1軒しかなく、滞在拠点を増やすことで交流を促し、活性化を図りたいと思ったんです。そんな経緯から協力隊の1年目が終わる頃には宿をつくるのが目標になり、2年目から創業に向けて準備を進めることになりました。
事業内容を教えてください。
カフェと宿の運営で、カフェでは鶏飯を提供し、宿は1日1組のみの貸し出しとしています。鶏飯を選んだ理由は、私が鹿児島の出身だからです。鹿児島(薩摩)の鶏飯が山口(長州)で、しかもそれを提供するのが薩長をつないだ坂本龍馬と同じ「りょうま」という名前を持つ私だなんて、薩長同盟を連想しませんか?(笑)。提供するメニューにも何か特徴をと思った時、やっぱりこの出身地と名前を活かすのが一番と考えました。ちなみに事業の運営に関しては、「Calm(穏やか)」「Play(遊ぶ)」「Connect(つなぐ)」「Discover(発見)」という4つの実現テーマを掲げています。具体的には、「Calm」は心と体が穏やかになる場所、「Play」は人それぞれが持つ個性や強みが輝く場所、「Connect」は他の場所から来た人と地域とを結ぶ場所、「Discover」は新しい価値観が発見できる場所です。田万川は観光地でありません。かつて北前船の行き来で栄えた漁師町で、今もその名残が実感できる、ある意味「何もない場所」です。だからこそ、全部をオフにして穏やかにゆったり過ごせたり、自分と向き合えたり、地域と人を結ぶ交流が生まれたりする場所にしたいと思いました。
創業にあたりどこかで学ばれましたか?
まず宿の始め方がわからなかったので、萩市ビジネスチャレンジサポートセンター「はぎビズ」に相談に行きました。そこで宿の始め方や屋号の決め方を教えてもらい、ターゲットの絞り込みなどもサポートしていただきました。それと同時に、「山口県よろず支援拠点」のオンライン研修に参加し、SNSの発信方法や広告のデザイン、効果的な名刺の作り方などを学びました。この時は、研修の内容以外にも創業や事業内容について相談できたので、ありがたかったです。また、萩商工会議所から創業セミナーをご紹介いただき、2カ月間計6回のセミナーに参加しました。そして、学びから得たものを事業計画としてまとめ、2024年3月に開催された「萩市ビジネスプランコンテスト」に出場し、地域課題解決部門で奨励賞をいただきました。さまざまな機関にサポートしてもらえ、山口県の創業支援の手厚さを実感しましたね。
創業資金はどのようにして準備されましたか?
自己資金と萩商工会議所からご案内いただいた信用金庫による特定創業者への融資、そして「よろず支援拠点」から情報をいただいた(公財)やまぐち産業振興財団の「やまぐち創業補助金」を活用して準備しました。実は萩市のビジコンでプレゼンした時は宿のみの事業を計画していたのですが、プレゼン後に観光庁による宿泊施設の稼働率データを改めて確認すると、宿のみでは経営が難しいことがわかりました。そこで急遽カフェ事業も盛り込んだところ、初期投資として必要な金額が大幅にアップしてしまったんです。そこからは各所に提出する事業計画書の練り直しです。信用金庫への提出書類に関しては、インターネットを活用して見よう見まねで作ったものを、担当者に確認してもらって作り替えるといった作業を何往復もしてようやく完成させました。ちなみに信用金庫が指定する特定創業者になるには創業セミナーの受講が条件の1つで、私はたまたま受講していたのでものすごくラッキーでした。もう一つ、クラウドファンディングにも挑戦しましたが、これは資金集めというよりは、宣伝効果を期待してのことでした。リターンとして食事券を送らせていただきましたが、実際に来てくださった方はまだ少なくて今後に期待しています。
創業の準備で特に大変だったことは何ですか?
やっぱり資金集めですね。それまで奨学金しか借りたことがなかったので、本当に一からのチャレンジでした。それと、融資が下りるまでに時間がかかったのと、工事が遅れたことで、なかなかオープンできなかったのも大変でした。営業できない間は実質無職ですから、貯蓄から生活費を出さないといけません。創業後もすぐに軌道に乗るとは考えられなかったので、貯蓄が減っていくのにかなりの不安を感じましたね。もっと短縮できたらよかったと今でも反省しています。
創業後、現在の状況はいかがですか?
オープン当初は地域外のお客さんが多く、地元の方の利用が思ったより少なかったです。最近になってこの辺りに住んでいる方が来てくださるようになり、地域に少しずつ浸透しているのを実感しています。中には市外から「ここに来たら時間がゆっくりに感じる」と何度も足を運んでくださるお客さんもいて、まさに自分が狙っていた時間や空間が提供できているのだと安心しています。実はビジコン出場時には石見空港が近いこともあり、リモートワークやノマドワークができる人をターゲットとしていましたが、何もない場所だからこそ、何もせず過ごして欲しいと思うようになり、ビジコン後は30代、40代の女性をメインターゲットに変更しました。でも実際に営業してみると、その世代の女性はパートナーがいたり、お子さんがいたりと、1人で行動できる時間を確保すること自体がすごく難しいんだとわかってきました。ですから今はターゲットを家族向けに徐々に変えていっているところです。初めは家族で来て、その次はお母さんが友だちと一緒に来て…、といった流れをつくっていければと考えています。
今後の目標を教えてください。
まずはもっと広く知ってもらい、宿泊のお客さまを増やすことです。11時から14時のランチは1日10名、14時から夕方のカフェタイムには常に誰かしらお客さまがいて、その上で週末に1組泊まっていただけるのが理想です。現状はなかなか難しいですが、ここを目指してやっていきたいです。また、私はもう30年以上ギターを弾いているので、定期的にギター関連のイベントも開催したいです。ゆくゆくは占い師さんや似顔絵師さんなどを招いてのイベントもできたらいいなと思っています。長い目で見た目標は、この田万川地域に賑わいを創出することです。そのために関係人口を増やし、田万川に移住したい、田万川で出店したいというような人が一人でも現れてくれることを願います。それと、私がここで自分のやりたいことをやっていく姿を通じて、地域の子どもたちに「好きなことを突き詰めていっていいんだ!」「こんな何もない場所でも夢がかなえられるんだ!」と思ってもらえたら嬉しいです。
最後に、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。
創業は楽しいことばかりではなく、やはり大変なこともあります。それでも私はカフェの窓から田万川ののどかな景色を眺め、走り回る子どもたちの姿を見ながら働くのが理想だったので、今の働き方にものすごく満足しています。以前勤めていた会社では絶対にできなかった働き方です。今お勤めになっている会社で夢が実現できるならそのままでも構わないと思いますが、もしそうじゃないなら、私は夢をかなえる一番の近道は創業だと思っています。山口県はいろんな支援制度もあるので、いろいろ調べてみて「あれ、もしかしたらできるかも…」と思えた瞬間が来たら、きっとそれが一歩を踏み出すタイミングではないでしょうか。石橋を叩きすぎて割ってしまうくらい用心深い私でも創業できたので、きっと皆さんも創業できると思います。ただ、計画だけはしっかり練ることをおすすめします。創業を悩んでいる人はぜひ「泊まれるカフェ 龍さん家」にお越しください。いつでも相談に乗りますし、失敗談も含めいろんな情報をお伝えさせていただきます。









