創業者紹介

筋膜リリースエステ Nature

梶原 純子

Junko Kajihara

すべての出会いに感謝!
ママも子どもも笑顔になれる 
幸せな循環を生み出したい。

梶原 純子39years old

Junko Kajihara

下関市出身。地元の高校を卒業後、東京の短大へ進学。4年制大学に編入。卒業後、下関市の学習塾に勤務。通信制大学で小・中学校教諭免許を取得。2013年7月より2年間、JICAが派遣する青年海外協力隊に参加し、マーシャル諸島共和国に赴任。帰国後の2015年10月〜2017年3月、山口県の小学校教諭として勤務。2016年8月にNGO団体Growmate(グローメイト)を立ち上げ、2017年8月にマーシャル諸島共和国に図書館を設立。2019年12月に帰国、翌年2月に結婚。2022年6月に「筋膜リリースエステ Nature(ネイチャー)」をオープン。同年11月にエステサロン横にキッズルームを設置。

筋膜リリースエステ Nature
創業:2022年4月 
住所:下関市上田中町1-4-1

中学生のときに「学校に通えない子どもたちのために海外に学校をつくりたい!」という夢を抱いた梶原さん。2013年7月から2年間、青年海外協力隊として太平洋に浮かぶマーシャル諸島共和国で教育支援を行った後、友人と共にNGO団体を立ち上げ、現地に2つの図書館をつくってしまったという異例の経歴の持ち主です。その後、コロナ禍により日本に滞在中に結婚、出産。妊娠中に資格を取得し、産後半年でエステサロン創業に踏み切り、利用客のためのキッズルームも設置しました。持ち前の行動力を発揮して、夢に向かってパワフルに突き進む梶原さんに、これまでの道のりや創業時の苦労、今後の目標などについて伺いました。(取材日:2024年1月17日)

これまでの経歴を教えてください。

小さい頃から学校という環境に窮屈さを感じていました。中学生のとき、世界には戦争や貧困などの様々な事情で学校に通えない子どもがたくさんいることを知り、「子どもたちが楽しく学べるような学校を海外につくりたい。私が好きと思えるような学校をつくろう」と夢見るようになりました。その夢を叶えるために、JICAの青年海外協力隊に応募。当時は「アフリカに学校をつくりたい!」と意気込んでいましたが、合格通知に書かれていた赴任先は、ハワイとグアムの中間に位置するマーシャル諸島共和国。希望地ではなかったけれど、これも何かのご縁だと感じて、29歳のときにマーシャル諸島に渡りました。この日を境に私の夢は「マーシャル諸島に学校をつくること」に変わりました。

マーシャル諸島共和国ではどんな活動をされたのですか。

現地語の教科書の作成や子どもたちへの教育支援などを行いました。その際、現地の学習環境の貧弱さ、教育水準の低さを体感して「私がやらなくては!」と使命感を抱き、NGO団体を立ち上げ、クラウドファンディングにより現地に2つの図書館を設立しました。次に、学校をつくるための運営資金を確保するために、現地に日本食レストランを開店しようと準備を進めていたのですが、ビザの関係で日本に一時帰国することになりました。ちょうどそのとき、新型コロナウイルス感染症の影響で、日本に足止めになってしまいました。その間に地元・下関市で夫と知り合い、3カ月でスピード結婚。事業家である夫のアドバイスもあり、日本食レストランの出店は断念しました。あのまま突っ走っていたら失敗していたかもしれないので、今となっては良かったなと思っています。

どうしてエステサロンを開業しようと思われたのですか?

結婚後、たまたま受けた婦人健診で自然妊娠が無理だとわかり、およそ1年間の不妊治療を経て、妊娠にこぎつけました。その間、学校をつくる夢は持ち続けていたものの、果たして自分に何ができるのだろうかと模索していました。悩みに悩んだ末に辿り着いた考えが、子どもたちの教育環境を整えるためには、まずは家庭の経済力が必要だということ。特に、ママが手に職をつける環境を整えることが先決だと思うようになりました。夫に相談したところ、運良く空き店舗と筋膜リリースの専用機を抱えていることを知り、これらを活用してエステサロンを開くことを思いつきました。もし自分が成功すれば、この技術を伝えていくことで、国内はもちろん海外に住んでいるママたちの独立開業を応援できるかもしれない。そこで、産休中に必要な資格(メディセリスト:筋膜美療コース)を取得し、技術を磨き、2022年6月に筋膜リリースエステ「Nature」をオープンしました。改装費はすべて自己資金でまかないました。

事業内容を教えてください。

美容と健康に特化した女性専用のエステサロンです。専用機を使って皮膚を優しく吸引することで、筋肉と皮膚の癒着をはがし、血液やリンパ液の循環を良くする筋膜リリースの施術を提供しています。また、針を使わない水光注射で、高密度のビタミンを皮下に直接浸透させるフェイシャルエステも行っています。

創業にあたってどこに相談されましたか?

何から手をつけていいのか分からない状況だったので、下関市商工会議所が主催する創業塾に通い、経営に必要な基礎知識や数値目標の立て方、ターゲット設定の仕方などを学びながら事業計画書を作成しました。なかでも参考になったのが事業計画の見直しです。事業を軌道にのせるためには、進捗状況を常にチェックし、必要に応じて軌道修正を図ることが大切だと教わりました。 また、美容院やエステサロン、ネイルサロンなどを経営している友達に、どんな予約システムやレジを導入しているのか、どの媒体に広告を出しているのかなど、具体的に教えてもらって参考にしました。

創業後、苦労されたことはありましたか?

一番はリピーターの獲得です。プレオープン時は紹介客のみで予約が埋まるほどたくさんのお客様が来店されたのですが、その後の予約はポツリポツリ。地域情報紙やフリーペーパー、ラジオなどに広告を打ってはみたもののあまり手応えがなく…。そこで、山口県よろず支援拠点に相談に行き、SNSの効果的な運用法などのアドバイスをいただきました。業種や店舗の規模によって異なるので一概には言えませんが、当店で費用対効果が最も高かったのはInstagramでした。予約の状況に応じて最適なタイミングで広告を打てるのでとても助かっています。

創業後、想定外だったことはありますか?

オープン当初、子育て世代のお客様には「お子様連れでも良いですよ」とお伝えしていました。でも、実際にやってみると、子どもが同じ空間で過ごすとお母さんが心底リラックスして臨むことは難しいなと感じました。お子様が動き回って大きな事故に発展してしまう可能性もあるため、みんながハッピーに過ごせるために、エステサロン隣の空き店舗を活用して、専任スタッフが待機しているキッズルーム(無料)を設けることにしました。

キッズルームの開設資金はどうされたのですか?

(公財)やまぐち産業振興財団「やまぐち創業補助金」を活用させていただきました。開業したばかりで資金が不足していたので大変助かりました。交付された補助金は、店舗の借用料、マットやクッション材などの設備、デジタルサイネージなどに使わせていただきました。また、お客様の声を反映して、キッズルームにはモニターカメラを設置し、施術中にタブレットで子どもの様子を確認できるようにしています。

現在の状況はいかがですか?

お子様連れのお客様が増えたことで、売上は徐々に上がってきています。「忙しい日々を忘れて心からリラックスできた!」「子連れでも気軽に行ける!」といった喜びの声を聞いて、ようやくお客様に喜んでいただけるお店になってきたなと実感しています。すべての出会いに感謝の気持ちでいっぱいです。

創業して良かったことは何ですか?

子どものスケジュールに合わせて働けることです。時間の使い方が自由にできるので、やりたいことを実現しながら、社会とつながっていたい気持ちと、家族を大切にしたい気持ちのどちらも満たせています。また、お客様と情報交換ができるのも大きなメリット。つながりが増えることで、自分の視野が大きく広がりました。

今後の目標についてお聞かせください。

創業してみると、身近なところにいろんなスキルを持っているお母さんがたくさんいること、しかも社会とつながりたいという思いを持っていることがわかりました。そこで、私はそれを引き出す役になりたいなって思います。将来的には、身につけた知識や技術を伝えていくことで、「独立開業したい」と思っているママを手助けしていきたいと考えています。最終ゴールである「海外に学校をつくる」という夢も忘れてはいません。この事業を海外に広げていき、ママが手に職をつけることで経済力を得て、その子どもたちが恵まれた教育環境を手にすることができる。そんな幸せな循環を生み出すことができたら良いなと思っています。

現在、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

「私なんて無理、何もできない」と感じているママたちに、自分の価値に気づいてほしい。もっと自分の力を信じて、得意なことをビジネスに変えてほしいと思っています。そのために大切なのは情報収集です。個人事業主の場合は、できるだけ多くの先輩に体験談を聞いて、できるだけ出費を抑えながら自分の事業に適した設備やツールを選ぶのが良いと思います。予約管理や会計などの無料アプリ、集客効果を期待できる地域振興券など、便利なサービスがたくさんあるので、ぜひ活用されてください。