創業者紹介

合同会社 Primavera
梅地 蘭代
Kayo Umeji
医療的ケア児の一時預かりと
不登校支援型フリールームで
たくさんの人を支えたい。

梅地 蘭代51years old
Kayo Umeji
山口市秋穂二島出身。高校を卒業後、大学進学のため広島へ。その後、神戸へ移住し、自動車学校の教習指導員や小学校へ給食の食材を届ける配達員、保険の外交員などさまざまな職を経験。両親が高齢となり山口へ戻り、看護師に。NICU(新生児集中治療室)・GCU(新生児治療回復室)、検査部で働いたのち、不登校になった娘に寄り添うため退職。2025年10月に医療的ケア時の一時預かりと不登校支援型フリールームを運営する「合同会社Primavera(プリマヴェーラ)」を創業。
合同会社 Primavera
創業:2025年10月
住所:山口市秋穂二島6174(旧二島幼稚園)
Instagram:https://www.instagram.com/primavera_freeroom/
これまでの経歴をお聞かせください。
山口市秋穂二島で生まれ育ち、大学進学を機に広島へ。その後神戸へ移住し、自動車学校の教習指導員や小学校へ給食の食材を届ける配達員などさまざまな仕事を経験しました。しばらくの間神戸にいましたが、地元で暮らす両親が高齢になったためUターンし、山口で再び自動車学校の教習指導員になりました。5年ほど勤めてから退職し、今度は看護師になるために山口大学へ。卒業後は山口大学医学部附属病院に入職し、最初にNICU・GCUで5年、検査部で1年働きました。学生時代からずっと憧れていた看護の仕事ですが、不登校になった娘に寄り添うため、病院は辞めることに。病院勤務はどうしても娘との生活リズムが合わず、「今は家庭を優先すべき」と考えたんです。その後、数年間使われていなかった旧二島幼稚園の園舎を借りて、2025年10月に医療的ケア児の一時預かりとフリースペースを運営する「合同会社Primavera」を創業しました。
どうして創業しようと思ったのですか?
「さあ、次は何の仕事をしよう」と考えていた時、ふと使われていない旧二島幼稚園の園舎が頭に浮かびました。実はNICU・GCUで働いていた時から、いつか医療的ケア児の一時預かりをやるのが夢で、「あの園舎ならできる!」とひらめいたんです。NICU・GCUで働いていた当時、医療的ケア児のお母さんたちと接する機会がたくさんあり、皆さん口々に「預かってくれる場所が本当に少ない」とおっしゃっていました。だから、私がその場所を作って、医療的ケア児の親御さんたちの助けになりたいとずっと思ったんです。自分の夢がかなえられますし、しかも自分が運営するということは、好きなように働けるわけですから娘に寄り添うことも可能です。これはもう創業するしかないと思いました。
事業内容を教えてください。
医療的ケア児の一時預かりと不登校支援型フリールームの運営です。医療的ケア児の一時預かりは、福祉サービスや医療サービスに結びつくところまで症状が至っていないお子さん、NICUを退院してすぐの生後1〜2ヵ月のお子さんもお預かりします。それと、産後うつが心配されるお母さんの息抜きのためにも利用していただけます。当初は医療的ケア児の一時預かりのみを事業とする予定でしたが、園舎の広さを活かしてフリールームもすることにしました。ただ、理由は広さだけではありません。娘が不登校になった時にフリースクールを探したのですが、この周辺にはなかったんです。つまり、地域で学校に行けない子どもたち、ひきこもっている子どもたちは行く場所がないんです。ですから、まずは子どもたちが家を出るきっかけになるような場所をつくりたいと、「開放教室」のような形でフリールームを運営することにしました。学習支援だけでなく、農業体験やリズム体操、お菓子作り、野外活動なども実施していく予定です。
創業にあたりどこかに相談されましたか?
病院を退職後、医療的ケア児の一時預かりがしたいと言いながら、実は約半年も最初の一歩を踏み出すことができませんでした。足踏みしている私を見た親友が痺れを切らし、「相談してきなさい!」と言って教えてくれたのが山口県よろず支援拠点でした。それからはよろず支援拠点の相談員さんにアドバイスを受けながら事業計画書を作っていきました。初めてでわからないことばかりでしたが、自分がやりたいことがどんどん明確になると、実現に近づいていく感覚があり、すごくわくわくしましたね。相談をする中でたまたま「女性ビジネスプランコンテスト(「わたしの明日を やまぐちの未来へ!ビジネスプランコンテスト ~WatashiBiz Yamaguchi~」)を知って挑戦したところ、ファイナリストとして最終審査会に参加することができ、協賛企業賞をいただきました。よろず支援拠点に相談に行ったことで、(公財)やまぐち産業振興財団や産業交流スペース「Megriba」とご縁ができ、そのご縁が「Mirise やまぐちアクセラレーションプログラム」や「やまぐちビジネスプランコンテスト2026」の参加にもつながり…と、私の道が大きく開けていったと感じています。中でもMiriseへの参加は他県で同じような事業を展開されている方とつながるきっかけになり、価格設定など参考にさせていただきました。
創業資金はどのようにして準備されましたか?
自己資金とよろず支援拠点からご紹介いただいた(公財)やまぐち産業振興財団の「やまぐち創業補助金」を活用しました。やまぐち創業補助金の申請に必要な書類は、これまでよろず支援拠点にアドバイスを受けて作り込んできた事業計画書がものすごく役立ちました。現在、トイレや浴室などの水回りを改装するために金融機関に融資を申請中ですが、これに提出する書類の作成にも非常に役立ちました。ちなみに、やまぐち創業補助金の使い道は、医療的ケア児をお預かりするのに必要な特別浴槽と電動ストレッチャーなどの医療機器です。
創業の準備で特に大変だったことは何ですか?
まずは旧二島幼稚園の園舎がなかなか借りられなかったことです。これまで市の小学校や幼稚園が廃校や廃園になることがなかったため、使わなくなった校舎や園舎を貸し出した実績がなく、慎重に判断せざるを得なかったようです。ただ、私としてはこの地域にあることと、県内各地から車で1時間程度というアクセスの良さから、絶対にここを諦めたくありませんでした。1年以上かけて交渉した結果、ありがたいことに貸していただけることになったので、好事例となれるようしっかり運営していきたいです。もう一つは資金面です。医療的ケア児の一時預かりは、「看護師の私さえいればできる!」と考えていましたが、施設を構えたり、医療機器を揃えるとなると、どうしても初期費用がかかります。融資を受けるにしても、自己資金の額によって印象は変わるので、やっぱりもっと用意しておけばよかったと反省しています。
創業後、現在の状況はいかがですか?
医療的ケア児の一時預かりもフリールームも、連絡さえしてもらえればすぐにでも受け入れられる体制が整っています。ただ、水回りの改装がまだなので、少々不便は感じさせてしまうかもしれません。スタッフは、医療的ケア児の一時預かりは私と看護師がもう1人、フリールームの方は児童指導員が1名常勤しています。ほか、単発・スポットで来てもらえる看護師や栄養士を4〜5人確保しています。オープン前の宣伝は、SNSとチラシの配布を行いました。また、資金を集めるために挑戦したクラウドファンディングが、認知度向上にもつながったと思います。創業準備を進める中で出会ったたくさんの方たちがあちこちで宣伝してくださり、山口市内だけでなく、県内各地から「いつオープンするの?」とたくさんのお声をいただきました。
創業して良かったことを教えてください。
経営者としての責任はありますが、とにかく楽しいです。やりたかったことが存分にできるこの場所は、私にとってお城です(笑)。ワークライフバランスも最高です。もちろん忙しくはありますが、自宅から10分かからない場所に職場があり、スケジュール調整も思うようにできています。娘のケアもありますが、両親もずいぶん高齢になってきましたから、家にすぐ帰れる距離の場所で働けるのは本当に助かります。また、たくさんの方とつながりができ、たくさんの方に応援してもらえるのも、思い切って創業したからだと思っています。
今後の目標を教えてください。
医療的ケア児の親御さんを支えられる場所、一人でも多くの不登校の子どもたちに頼ってもらえる場所に、ここを育てていくことが目前の目標です。十分な広さがありますから、カフェや交流会などを開き、お母さんたちが情報交換をしたり、息抜きしたりする時間の提供も考えています。また、せっかく特別浴槽がありますから、地域のご高齢の方にも使っていただけたらと思います。できればフリールームもご利用いただき、子どもたちとコミュニケーションをとってもらいたいです。子どもたちは人生の先輩方から知恵を授けてもらい、高齢者には生きがいを感じてもらえたらすごく嬉しいですね。それとは別に、Miriseに参加してから、もっと大きなことに挑戦したくなりました。Miriseに参加されていた方はみなさんいろんな分野での創業や事業の発展を考えていらっしゃって、私の事業は些細なことだと衝撃を受けたんです。ですから、まずは山口市秋穂二島から始めて、次は山口県全域に、その次は島根や鳥取など山陰に、そしていずれは全国に…と、エリアを拡大し、全国の医療的ケア児の親御さん、不登校の子どもを救うことが私の新たな目標となりました。
最後に、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。
思い続ければ夢はかなうということ、最初の一歩を踏み出す勇気が大事ということをお伝えしたいです。また、やりたいことを口に出すことも重要で、まだ何もしていなくても、やりたいことがあるならぜひ言い続けてほしいです。私は自分がやりたいと発したことで、友人に背中を押してもらえ、応援してくれる人が現れ、一緒に働きたいという人が現れて現在に至ります。ですから、創業するうえで一番大切にしないといけないのは「人」だと私は思っています。それと、山口県よろず支援拠点やMegriba、商工会議所など、創業を支援してくれる機関はたくさんありますので、ぜひ足を運んでみてください。専門家のアドバイスを受けることで開かれる道がたくさんありますよ!









