創業者紹介

Dog spa GIFT

岸村 真歩

Maho Kishimura

“わん”ペースなトリミングで
一頭一頭に寄り添った
一生通えるサロンを目指して。

岸村 真歩27years old

Maho Kishimura

周南市出身、防府市在住。高校卒業後、専門学校でトリミングの基礎を学ぶ。東京のペットサロン、トリマーの派遣会社でトリミングのスキルを磨き、防府市にUターン。動物看護師として動物病院で働いた後、2022年9月に小型犬専門トリミングサロン「Dog spa GIFT」をオープン。

小型犬専門トリミングサロン Dog spa GIFT
創業:2022年8月
住所:防府市岡村町10-15
HP:https://dogspagift.com/

小さい頃から大の犬好きで、いつかトリミングサロンを開きたいという夢を抱いていた岸村真歩さん。東京のペットサロンやトリマーの派遣会社で経験を積んだ後、地元に戻って念願のトリミングサロンをオープンさせました。夢を叶えた岸村さんに、これまでの道のりや現在の状況などについてお聞きしました。(取材日:2022年11月2日)

トリマーを志したのはいつですか?

物心がついたときから犬が大好きで、将来は犬と一緒にいられる仕事に就きたいと思っていました。トリマーを志したのは小学3年生のときです。いつか自分のトリミングサロンを持ちたいという漠然とした夢を抱くようになりました。そして、トリミングの基礎を学ぶために山口市内の専門学校に進学。卒業後、さらに高い技術を身につけるために、競争の激しい東京のペットサロンに就職することにしました。仕事が厳しく、先輩方の技術力に圧倒される日々でしたが、夢を夢で終わらせたくない一心で必死に働きました。 2年が過ぎた頃には、ある程度仕事をまかせてもらえるようになったのですが、自分の技術力になかなか自信が持てずにつらい日々を送っていました。次第に、この仕事は好きだけど、もしかしたら向いていないのかもと考えるように…。あと1年必死でやってダメだったら夢を諦めようと覚悟を決め、ペットサロンを辞めてトリマー派遣に登録することにしました。

どうして、トリマー派遣に登録をしようと思われたのですか?

都会では、店舗のニーズに合ったトリマーを依頼できるトリマー派遣が重宝されています。スキルチェックによってランク付けがされるので、トリマー側からするとかなりのプレッシャーですが、敢えて厳しい環境に身を置くことで、より早くスキルアップできるのではないかと考えてトリマー派遣に登録しました。 派遣先は、芸能人御用達の高級サロンや郊外のサロンなど様々。70店舗以上で経験を重ねるうちに、自分が良いと思ったことだけを集めて形にすれば最強のお店ができるかも…と少しずつ創業への夢が膨らんでいきました。お店を譲りたいという有り難いお話をいただけたことが自信になり、地元でお店を開くという小さい頃からの夢を叶えるためにUターンすることを決意しました。

Uターンから創業までの経緯を教えてください。

2021年1月に防府市にUターンしました。でも、すぐには開業せず、犬の病気などの知識を身につけるために、防府市の動物病院で動物看護師兼トリマーとして1年半働きました。動物病院に併設するサロンでは、老犬や病気の犬のトリミングを毎日のように行っていたので、とても良い経験になりました。スタッフのみなさんとも仲良くさせていただき、院長からは開業にあたって体験談を踏まえたアドバイスもいただけたのでとても心強かったです。念願のトリミングサロンをオープンさせることができたのは、これまで出会った人たちとの良好なつながりのおかげだと思っています。

創業にあたってどこに相談されましたか?

父の勧めもあり、防府市中小企業サポートセンターCONNECT22に相談しに行きました。そこで初めて事業計画書のことを知りました。創業アドバイザーにゼロから書き方を教えてもらい、書いては添削してもらうことを繰り返しました。多いときは週2回ぐらいのペースで通っていましたね。 一番良かったのは自分の強みを再確認できたことです。これまでの経験や実現したい未来について話す中で、事業のコンセプトや方向性が明確になっていきました。私のやりたいことを否定せずに、夢の実現に向けて全力でサポートしてくださったことに心から感謝しています。

創業の準備で大変だったことは何ですか?

まず、動物取扱業の登録申請に係る動物取扱責任者の資格要件確認書類の準備です。私は通っていた専門学校が閉校していた関係で、必要書類を準備するのに時間がかかってしまいました。 さらに、物件探しにも思っていたよりも時間がかかってしまいました。いろいろな不動産屋を巡ってみたのですが、希望する広さで動物可の物件は全く見つかりませんでした。現在の場所は、祖父の知り合いの不動産屋さんが紹介してくださったものです。防府駅から近く、車や人通りも多いのでとても理想的でした。また、自宅から近くて通いやすいのも魅力でした。更地だったところに、地権者の方がこちらの要望に沿った建物を新しく建ててくださり、それをお借りしています。ありがたいご縁に感謝しています。

創業資金はどのようにして準備されたのですか?

当初は(公財)やまぐち産業振興財団の「やまぐち創業補助金」の活用と自己資金だけで開業する予定でしたが、防府市中小企業サポートセンターCONNECT22で、「山口県しんきん創業チャレンジ助成金」 の話を聞いて、東山口信用公庫と日本政策金融公庫との協調融資も活用させていただきました。やまぐち創業補助金は、シャンプーマシンやバリカン、殺菌消毒機などの購入に使用しました。融資の使い道は、当面の運転資金として考えています。

どんなお店なのですか?

年齢や時間などの制限を設けない、“わん”ペースなトリミングサロンというコンセプトを掲げ、親しみやすい店づくりを目指しています。犬も人間と同じで、顔のバランスや毛量などの特徴、性格などが違うので、スピード重視ではなく、一頭一頭に寄り添った施術を心掛けています。また、シャンプー時間を大幅に短縮できるシャンプーマシンを導入して、わんちゃんの負担をできるだけ減らす環境を整えました。店舗の内装を考える際にも、ストレスを与えないために、窓の大きさや位置にこだわりました。床材には、クッション性の高いザラザラした素材を使用して、わんちゃんの足腰に負担がかからないような造りにしています。

創業時、どんなことが不安でしたか?

一頭一頭の性格や体調に合わせたトリミングを行うとなると、1日に2〜3頭が限界です。そのため、競合他社よりも少し高めに料金を設定しました。オープン前は本当に予約が入るのかとても不安でしたが、現在は1カ月先まで予約が埋まっているのでホッとしています。

顧客獲得のためにどのようなことをされましたか?

SNS(Instagram)での集客がメインです。トリミング中の動画やビフォー・アフターの画像を中心に投稿しています。飼い主さんも安心して預けられるように、わんちゃんの様子をリアルタイムで配信しています。現在、リピーターのお客様が8割です。お客様が広告塔になってくださるおかげで、新規のお客様も徐々に増えてきています。

創業して良かったことは何ですか?

飼い主さんから「今までのトリミングで一番気に入っている!」「こんなお店できるのをずっと待っていたよ!」とおっしゃっていただけることです。想像していた以上に感謝される機会が多く、オープンして心から良かったなと感じています。

予想と違っていたことはありますか?

思っていたよりも休む暇がないことです。家に帰っても動画を編集したり、SNSを更新したりと、やりたいことがたくさんあります。店舗が休みの日にも防府市中小企業サポートセンターCONNECT22に今後の事業展開について相談しに行ったり、技術力アップのためにオンラインセミナーを受けたりと忙しくしています。でも、全部自分のためにやっていることなので全く苦ではありません。

今後の目標についてお聞かせください。

通ってくれているわんちゃんたちが高齢になっても可愛く健康でいられるように、常に学ぶ姿勢を忘れないようにしていきたいです。そして、これからも変わらず “わん”ペースなトリミングスタイルを守りながら、幅広い知識と高い技術力で、その子の一生にしっかり寄り添えるトリマーを目指したいと思っています。また将来的には、同じ価値感をもった後進の育成にも力を入れていきたいです。

最後に、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

今回の創業にあたっては家族や友人をはじめとする多くの人にサポートしていただきました。大切なのは人とのつながりです。周りへの感謝の気持ちを忘れずに、夢や目標に向かって走り続けてください! また、いくら良い商品やサービスを提供しようとしても、その良さを伝えなければ集客にはつながりません。SNSを上手に活用して積極的に情報を発信されることをおすすめします。