創業者紹介

トライワークスジャパン株式会社

山本孝士

Takashi Yamamoto

0を1にする面白さと難しさ。
新たな市場へのチャレンジに
大きなやりがいを感じています。

山本孝士58years old

Takashi Yamamoto

山口県山陽小野田市生まれの52歳。高校卒業後、山陽小野田市役所に入職。28歳のときにエアコンの取り付け・洗浄を行う「テクニカルサービス」を創業。2016年4月に、カーエアコン洗浄サービス・メンテナンスの「トライワークスジャパン」を設立し、全国展開に向けて奮闘中。
 
トライワークスジャパン株式会社
創業:2016年4月
住所:山口県山陽小野田市大字有帆
HP:https://www.tryworks-japan.jp/

28歳でエアコンの取り付けやメンテナンスを行う「テクニカルサービス」を創業した山本孝士さん。事業を展開していく中で、カーエアコン洗浄という新たなビジネスの種を見出し、50歳を機に「トライワークスジャパン」を設立しました。会社の舵取りをしながら現場業務もこなす山本さんに、新会社設立に至った経緯や仕事の喜びなどについてお聞きしました。

新会社を設立しようと思った理由を教えていただけますか?

空調機器のメンテナンスや洗浄を手掛ける中で、10年くらい前から「車のエアコンの調子が悪い」「風量が弱い」といったお客様の声を聞くようになりました。中でも、トラックやトレーラーなどの産業用車両のドライバーは、エアコンが効かない過酷な環境で働いていらっしゃる場合も少なくありません。従来のカーエアコン洗浄は、スプレー式洗浄剤による簡易的なもの、あるいはエアフィルターの交換という程度で、ホコリや汚れを完全に落とすことができないんですね。家庭用エアコンと同じように水で洗浄できれば、ドライバーの労働環境が改善されるのはもちろん、車両の寿命も延ばすこともできるはず。しかし、カーエアコンの構造は非常に複雑で、技術的にとても難しく、そう簡単に手を出すことができるものではありませんでした。また、新しい事業を始めるためには多額の設備投資も必要になってきますし…。ずっと心の片隅にひっかかっていたのですが、目の前の仕事に追われてなかなかチャレンジできずにいました。でも、技術を確立しさえすれば、これは絶対に成功するという確信はありました。そこで、業務の空き時間に地道に研究開発を進め、12年もの歳月をかけて、カーエアコンの洗浄サービスを独自開発、50歳を機に新会社を設立しました。これまでの仕事の延長線上に求められたサービスだったので、新会社の設立は自然な流れだったといえるでしょうね。

設立される前にどんな準備をされましたか?

小野田商工会議所には毎月足を運びました。当時は、アイデアはあるけれどカタチにするにはどうしたらいいのかが分からない状態で…。そこで、まず事業として成り立つかどうかも含めて相談することにしました。当時、ラッキーなことに商工会議所では専門家による無料創業相談会を定期的に開催しており、中小企業診断士の先生を紹介していただきました。先生にアドバイスをいただきながら、県の中小企業経営革新計画の承認や、国の補助金の交付を受ける認定の手続きなどを行いました。そして、国の補助金が交付されるタイミングで創業しました。

資金集めはどのように行われたのですか?

創業資金は、これまでの事業で獲得した自己資金と役員からの出資、国の創業支援事業者補助金、銀行からの融資でまかないました。現在、YMFG ZONEプラニングが主催する「山口レボリューショナリーズ」にエントリーし、月に1度の勉強会に参加しています。2018年秋の投資家へのプレゼンに向けて、資料のブラッシュアップなどをサポートしてもらっています。さまざまな専門家の協力があるからこそ、ここまで順調に続けてこられたのだと感謝しています。

人材はどのようにして集められたのですか?

知人からカーエンジニアを紹介してもらいました。最初はこのサービスに半信半疑でしたが、何度も説明するうちに「これ、絶対にいけますよ!」と賛同してくれるようになりました。今ではなくてはならない心強い存在です。彼をメンバーに加えたことで、技術面での不安は解消されましたね。

創業後の苦労をお聞かせください。

これまで手掛けてきた空調機の洗浄は、すでにニーズがある仕事だったため、サービスを広めていく上での苦労はあまりありませんでした。しかし、カーエアコンの洗浄は、ほとんどの方が知らない新しいサービスです。そのため、ニーズの掘り起こしから始めなければいけませんでした。0を1にすることが、こんなにも大変なのかと痛感しています。今はお客様一人ひとりに丁寧に説明し、実演することで、このサービスの良さを理解していただけるように頑張っています。また、山口県産業技術センターや山口大学工学部などの協力を得て、洗浄力の「見える化」にも力を入れ、ホームページやSNSなどで積極的に情報発信も行っています。2017年に行われた「山口県ビジネスプランコンテスト」では、当社のビジネスプランが特別賞に選ばれました。ここで評価を得たことが、次のステップにつながる一歩になりましたね。

創業前の想定と違っていたことはありますか?

独自の技術と機材開発に思いのほかお金がかかったことですね。第1号の洗浄マシンは、公益財団法人やまぐち産業振興財団の「やまぐち中小企業活力アップ補助金(スタートアップ枠)」を活用させていただきました。無事に完成したのですが、大きすぎて移動車に積み込めないという誤算がありました(笑)。創業前は、産業用車両をもつ企業を中心に、サービスを展開していこうと考えていたのですが、いざ始めてみると個人のお客様からも多くのお問い合わせをいただいています。このサービスへの確かな手応えと可能性を感じています。

創業後、事業はスムーズに進んでいますか?

一度利用された企業がリピーターになってくださったり、お客様がお友達を紹介してくださったりと、今のところ順調に進んでいます。SNSで情報を発信すると、福岡や広島など県外のお客様からも依頼があります。このサービスを求めている方は全国にたくさんいらっしゃるんだなと感じています。

創業して良かったことはありますか?

仕事を通じてたくさんの人々に出会えたことです。このサービスに共感してくれる人、本気でサポートしてくれようとする人たちと話していると、心の底からワクワクしてきます。そういう人たちのためにも、なんとかしてこのサービスを広めていこうと毎日奮闘しています。大変なことももちろんありますが、0を1にする喜びとやりがいはとても大きいですね。

今後の目標を教えてください。

どこかの段階で大きく仕掛けていかないといけないと思っています。洗浄マシンを量産して、東京、大阪、名古屋、福岡など、日本各地に拠点をおくことも検討中です。社名に「ジャパン」という言葉を入れたのは、グローバルな展開を見込んでいるから。将来的にはフランチャイズ化して、海外へもダイナミックに展開していきたいなと夢を膨らませています(笑)。現在、新しいステージに向けて、国際特許の出願をしています。

現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

自分がやりたいことであれば、たとえ賛同者が一人になってもやるぐらいの強い覚悟が必要だと思います。ただし、自分一人の力で成功することはできません。信念を貫き、アイデアをカタチにするためには、多くの仲間をつくること、異業種の現場の人間に教えを請うことも大切です。さまざまなジャンルの技術者と協力し合えば、新しい発想が生まれるはず。そこからマッチベターを繰り返していけば、新しいビジネスチャンスを生み出すことができるのではないでしょうか。