創業者紹介

Chinese Kitchen 貴

山本 貴幸

Yamamoto Takayuki

一番の喜びは、全て自分の手で調理して
納得の料理を完成させられること。
地元の人たちに味わってもらえるのも嬉しい

山本 貴幸40years old

Yamamoto Takayuki

山口市阿東生まれ。高校を卒業後、大阪の料理専門学校へ。さまざまなジャンルの料理を学ぶ中、多彩な調味料を組み合わせ複雑な味を創造する中華の虜に。東京のホテルや横浜のレストランなどで腕を磨き、山口にUターン。こだわりの中華を提供する店をオープンした。
 
Chinese Kitchen 貴
創業:2017年6月
住所:山口市湯田温泉6-8-61
HP:http://chinesekitchen-taka.com

高校卒業と同時に山口を離れ、大阪で料理の勉強をした山本貴幸さん。その後、中国料理の料理人として東京で約18年修業を重ねます。40歳を前に将来について考え、地元山口に帰って自分のお店を創業することを決意。奥様と二人、忙しいときは両親の手も借りながら日々自分が理想とする中華料理をふるまっています。なぜUターンしたのか、創業までにどんな準備をしたのかなど、これまでと今後の目標を山本さんにお聞きしました。

中国料理の道へと進んだ理由を教えてください。

高校を卒業後、子どもの頃から憧れていた料理人になるために、大阪の調理師専門学校へ進学しました。1年目は、和・洋・中、製菓と全てのジャンルを習うのですが、中国料理を習ったときに、その美味しさと、さまざまな調味料を掛け合わせて複雑な味を作り出す面白さに魅了されました。2年目の専門課程では、迷わず中国料理を選択しましたね。豊富な食材と多様な調理技術にも圧倒されて、どんどんと中国料理にのめり込んでいきました。

これまでの経歴と創業の地に山口を選んだ理由を教えてください。

専門学校を卒業後、東京で就職しました。最初の勤め先はホテルの中華部門。その後、銀座、六本木、横浜、神田と約18年、いろいろな中国料理店で修業を積みました。「このままずっと雇われる立場で上を目指すなら東京」、「自分のお店を持つなら地元の山口」と、気持ちはいつも半々でした。ただ、あと数年で40歳を迎えるという頃から、自分のお店をやってみたいという思いの方が強くなっていたような気がします。ちょうどそんなとき、地元にいる父親から「お前、この先どうするつもりだ?」と聞かれました。何となく曖昧にしていた将来について真剣に考えるタイミングが来たんだな、と感じましたね。いろいろと考えた末に、「やっぱり自分のお店をやってみたい!」という気持ちの方が勝り、山口での創業を決めました。自分が長男だということも理由の一つでしたね。

創業のためにどんな準備をされましたか?

料理一筋でやって来ましたので、経営に関する知識はほとんどありませんでした。知識といっても、勤めていた料理店の経営会議に参加して、流れをちょっとだけ見た程度で…。何から始めたらいいのか、さっぱり検討もつきませんでした。そこで退職する前に、まずは地元で料理店を開業している経営者の先輩に「創業にあたってどのようなことをしたらいいですか?」と相談をしました。すると、その方が山口商工会議所を紹介してくださいました。準備で一番大変だったのは、事業計画書の作成です。今まで書いたことはもちろん、見たことも全くありませんでした。数字に関してわかることと言えば、原価計算くらい(笑)。聞きなれない言葉も多くて、本当に苦戦しましたね。わからないことが出てきたらすぐに質問し、それに対して商工会議所の担当者が答えてくれる、そんなやり取りが何度もありました。事業計画書を完成させることができたのは、商工会議所の担当者が、根気強く丁寧に対応してくださったおかげだと思います。

創業資金はどうされたのですか?

一部を自己資金とし、残りは2つの金融機関から借り入れをしました。その際に、大変役に立ったのが必死になって作成したあの事業計画書です。山口市にこれまでなかったような、シックで高級感のある中国料理店をつくりたいという思いがあったので、店舗の外装・内装にはしっかりと投資をし、他店との差別化を図りました。おかげさまで、広々とした厨房スペース、座席数、駐車場スペースと、希望していた通りのお店ができました。ちなみに、金融機関は商工会議所からの紹介です。何から何までサポートしていただいて、本当に助かりました。

創業後、現在の状況はいかがですか?

しっかりとコンセプトを立て、マーケティングを行った結果、順調に経営できています。スタート時からの集客数も売上もほぼ想定した通りです。とは言ったものの、価格設定についてはかなり悩みましたね。実の父からも「少し高いんじゃない?」と言われましたが(笑)、差別化を図るのなら価格より質だろうと。周囲の人からは、山口という地域は、新しいお店ができたら、一気にドッと押し寄せてスーッと引いていくと聞いていました。でも、味には自信があったので、一回お試しいただいて、その先のことは、お客様のジャッジに任せることにしました。今のところは、ご満足していただけているようでホッとしています。宣伝広告費に経費をかけるなら、それよりも食材に回すというのが当店の方針です。野菜は、中国料理では一般的な水煮や缶詰は使っていません。肉・野菜・魚は、国産の新鮮なものを使用することがこだわりですね。もちろん、山口では手に入りにくい食材や中国酒など、本場中国のものもご提供しています。原価をしっかりとかけ、本当においしい料理を提供することが、うちの強みだと思っています。

創業して良かったことはありますか?

働いている時間だけでいうと、会社員時代と変わりませんね。むしろ、長くなっているかもしれません。これまでは分担して行っていた作業を量は少ないとはいえ、自分一人で全てやるわけですから。ただし、仕事に関するストレスは全くなくなりました。会社勤めのストレスといえば、人間関係だと思われがちです。でも、私の場合はちょっと違っていて。以前は、一つの料理を完成させるのにいろんな人の手がかかり、なかなか自分の理想のものができなかったんです。人の手だけは自分の思い通りにはなりませんからね。今は、「ああ、そこはちょっと違うな」「それはこうして欲しかった」などの調理に関するストレスがありません。自分一人でできるので、自分の作りたい料理ができるんです。これは、料理人にとっては最高の幸せです。また、これまでは遠く離れた東京で料理を提供していたので、家族や地元の友だち、知人に私の料理を食べてもらえる機会が少なかったのですが、今は気軽に味わってもらえることも良かった点です。そして、何より、両親の嬉しそうな姿を見られることですね。

今後の目標を教えてください。

お店の経営を安定させることが第一ですが、いずれは若い料理人に中国料理を継承したいと考えています。でも実はこれが前途多難で…。今、中国料理を学びたいという若い人があまりいません。というか、料理人になりたいと思っている若い人自体が少ないんです。このままでは、料理人がいなくなってしまって、料理文化そのものが途絶えてしまう可能性すらあります…。特に、山口は中国料理店が少ないので、私が厨房に立てなくなった後はどうなってしまうんだろうと、ふと考えることがあります…。お店を大きくするのか、店舗を増やすのか…。今はまだ、具体的な計画はありませんが、何とかして、山口に中国料理を残していきたいと思っています。

現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

手続き関連や必要書類の作成などは、まず商工会議所に相談するのをおすすめします。親身になって応えてくれ、丁寧に指導してもらえますよ。あとは初期段階にどう取り組むか、ということだと思います。お金をかけずにスタートするのか、しっかり初期投資していくのか。私の場合は内装も外装も設備も思い切ってガラリと変えました。元々、飲食店があった所だったので、ちょっとキレイにしたら使えるなとも思ったのですが、それでは、お客様にとっては変わりばえしないのでは…と考えました。また、山口にある他の中国料理のお店を見て回ったときに、どこも雰囲気が似ているなと感じたので、ちゃんと個性を打ち出して、「新しく始まるんだよ!」「違うお店に変わったんだよ!」というのをアピールしようと思いました。どちらのやり方も間違っていないので、難しい判断になると思います。なので、そこは自分でよく考えて、計画とコンセプトを立てることが大切だと思います。