創業者紹介

株式会社ヤッコ

赤石 泰子

Yasuko Akaishi

福を呼ぶフクロウで
笑顔の輪を広げて
まちを盛り上げていきたい。

赤石 泰子63years old

Yasuko Akaishi

宇部市出身の62歳。九州の短大を卒業後、宇部市内の企業に就職。結婚・出産を機に家事・子育てに専念。子育てが一段落したのをきっかけに下関市で縫製・調理の仕事に就く。50歳をすぎて帰郷し、事務職を経て「ふくろうカフェ アウルの城」をオープンする。
 
株式会社ヤッコ
ふくろうカフェ アウルの城
設立:2017年5月9日
創業:2017年6月10日
住所:宇部市中央町2-4-7 ルナーレ宇部1階
HP:https://ubeowl.jimdo.com

ガラスに囲まれた部屋にいる大小さまざまな愛らしいフクロウを見ながら食事ができる「ふくろうカフェ アウルの城」。平成29年6月に、フクロウとの触れ合いが楽しめる山口県初のフクロウカフェとして宇部市にオープンしました。「宇部のまちを盛り上げていきたい!」と朗らかに話す赤石さんに、創業までのいきさつや現在の様子などについてお聞きしました。

これまでの経歴と創業のきっかけを教えてください。

これまで事務や縫製、調理など、さまざまな仕事を経験しながら4人の子どもを育ててきました。一番下の子が経済的に独立したのと、両親の面倒を見るために、50歳を過ぎて宇部に戻ってきました。久々に宇部のまちを歩いてみると、空き店舗が増え、人通りがとても少なくなっていて…。なんだか寂しい気持ちになりました。そこで、何か目新しいもので注目を集めて、宇部にかつての賑わいを取り戻せないだろうかと考えるようになりました。

どうしてフクロウカフェをしようと思われたのですか?

幼なじみに「東京で流行っている『フクロウカフェ』を宇部でやってみよう!」と話したのがきっかけです。フクロウは、昔から不苦労・福籠などといわれ、縁起がいい動物として知られており、日本だけでなく世界中で愛されています。それに、もともと動物が好きだったこと、調理師の免許を持っていたこともあり、「これならいけるかも!」と直感しました。

創業に対する不安はありませんでしたか?

フクロウカフェの存在自体が今ほど知られていなかったので、本当に受け入れてもらえるのだろうかという不安はありましたね。でもそれよりも、60歳を目前にしていたので、早くしなくてはという焦りの方が大きかったように思います。まだ山口県には出店しているところがなかったので、チャレンジするなら今しかないと思い、思いきって創業することしました。

創業にあたって、どこかで学んだり、指導を受けられたりしましたか?

まず、宇部商工会議所に相談に行きました。そこで起業塾の受講を勧められ、すぐに通い始めることにしました。経営やマーケティング戦略、会社設立など、創業に必要な基礎知識を学んだり、グループワークやディスカッションなどを通して、少しずつアイデアをカタチにして事業計画書を完成させ、プレゼンテーションを行ったりしました。そのおかげで創業への覚悟が固まったので、参加して本当に良かったと思いますね。また、中小企業診断士の先生のアドバイスを受けて、SNSでの情報発信や仲間づくりにも力を入れました。起業塾を通じていろいろな方と知り合えたことにも感謝しています。今でも連絡を取り合ったり、お店に遊びに来ていただいたりと、仲良くさせていただいています。

そのほかにどんな準備をされましたか?

フクロウの飼育方法を勉強するために、福岡や広島、岡山など、各地のフクロウカフェに視察に出掛けました。それから、フクロウの生態を知るために、2羽のフクロウを購入し、自宅で飼い始めました。馴染みのない動物ですし、最初は大変かなと思いましたが、意外とおとなしいし、飼いやすいんですよ。フクロウの可愛さにすっかり魅了されてしまいました。そして、お店をオープンする1カ月前に、フクロウを5羽購入し、トレーニングを始めました。それと並行して、店鋪となる物件探しや提供する料理のメニュー開発も行いました。

資金集めはどのように行われたのですか?

創業資金の半分は自己資金、半分は日本政策金融公庫の新創業融資制度を活用して、無担保・低金利で借り入れることができました。そのほかにも、国と市の創業補助金を活用し、経費の一部を助成していただきました。補助金申請のための書類作成は、宇部商工会議所の担当の方が随分サポートしてくださったので、とても心強かったですね。また、山口県の専門家派遣制度を活用し、ブランディングや店鋪デザイン、陳列コーディネートなどについても専門的なアドバイスをいただきました。お店のロゴは、このとき紹介していただいたデザイナーさんに作ってもらいました。弁理士さんのアドバイスで商標登録も行ったので、ゆくゆくはロゴやキャラクターが描かれたオリジナルグッズの販売も展開していきたいと考えています。

創業に向けて苦労されたことはありますか?

こうした業態は山口県内で前例がないことから、保健所の許可がなかなか下りませんでした。また、契約寸前だった物件が先方の都合で突如キャンセルになったり、内装を頼んでいた施工業者が代わったりと、オープンまではなにかと困難な道のりでした。それから、フクロウを管理するために必要な愛玩動物飼養管理士の資格を持っている人を探したのですが、なかなか見つからなくて…。結局、自分がとることにしました。この歳になってひたすら図書館に通い、学生と机を並べて必死に勉強したことは、今となってはとてもいい思い出です(笑)。こうして1年間の準備期間を経てオープンに辿り着きました。

どんなお店なのですか?

展示しているフクロウは全部で11羽。頭をなでたり、専用のグローブを装着して手にのせたりと、自由に触れ合うことができます。フクロウは一般販売もしており、遠くは高知県の方に販売したこともあります。また、ショーケースに並んでいる可愛いフクロウたちを眺めながら、料理や飲み物を楽しむこともできます。料理のベースとなるだしやブイヨンはもちろん、メニューは全て手作りです。手を抜かず、一つひとつ手づくりにこだわっています。料理に使用する魚介類は、豊洲新市場の仲卸から新鮮で上質なものを直接送ってもらっています。

創業後、事業はスムーズに進んでいますか?

開店当初は、新しさや珍しさで話題となり、多くのお客様に足を運んでいただきました。プレスリリースを配信したことで、テレビをはじめとする各種メディアにも取り上げられました。その反響は想像以上でしたね。せっかく遠方から来ていただいたのに、入店待ちになったり、フクロウに触れなかったりとご迷惑をおかけしたこともありました。でも、しばらくすると徐々に客足が遠のき、売上が停滞するようになりました。そこで、新しくメニューを増やしたり、価格設定を見直したりしました。また、地域のさまざまなイベントにフクロウを連れて行ってチラシを配るなどの宣伝活動にも力を入れました。さらに月に1度、「フクロウ好きの集い」というイベントも始めました。そうした地道な努力の甲斐もあり、毎月足を運んでくださるリピーターが増えたり、お客様がお友達を連れて来てくださったりと、徐々にファンが増えているのを実感しています。

創業して良かったこと、大変だったことは何ですか?

良かったことは、たくさんの人に出会えることですね。「ここに来ると癒される」「来て良かった」というお客様の笑顔に会えたときは、やっていて本当に良かったなと思えます。今日まで続けることができたのは、支えてくださっている皆さんのおかげだと、いつも心から感謝しています。大変だったのは、オープンしてからの約半年間ですね。フクロウのエサやりをしてくれる人が見つからなくて、一日も休みを取ることができませんでした。全てを一人でこなしていたので、夜中の2時、3時まで仕事をする日もあり、体力的にはとても厳しかったですね。

これからの目標をお聞かせください。

ただお店で待っているだけの受け身の姿勢では将来的には行き詰まってしまうと思うので、積極的にアクションを起こして、多くのお客様にお店のファンになっていただけるようにしていきたいと考えています。そこで始めたのが「フクロウの出張サービス」です。結婚式などのお祝い事やお店の新規オープン、施設や幼稚園などのイベントに活用してもらえたらいいなと思っています。今後も、お客様の声にしっかりと耳を傾け、付加価値の高いサービスを提供していく努力を続けていきたいと思っています。

最後に、現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

創業時のことばかりに気を取られがちですが、肝心なのは創業後、安定して事業を継続させることだと思います。家賃や人件費など、お店を維持していくために必要なコストが大きいと収益を出すのは難しくなります。できるだけランニングコストを抑えて、運営していける事業計画を立てることが大切です。また、実際に創業してみないとわからないこともあると思うので、常に先を考えながら軌道修正していく柔軟性も必要な条件の一つだと思います。