創業者紹介

パリパリ工房

豊田政男・豊田恵子

Masao Toyota, Keiko Toyota

定年退職後、夫婦で創業を実現!
人とのつながりや働く喜びを感じながら
充実した毎日を送っています。

豊田政男・豊田恵子63years old

Masao Toyota, Keiko Toyota

パリパリ工房
豊田政男 62years old
Toyota Masao
豊田恵子 62years old 
Toyota Keiko
 
夫の政男さんは長門市三隅生まれの62歳。妻の恵子さんは下関市生まれの62歳。退職後、2018年5月に夫婦で「パリパリ工房」を創業。ノンオイルの野菜チップスの製造・販売を手掛ける。
 
パリパリ工房
創業:2018年5月3日
住所:宇部市厚南北3丁目14-32-5
HP:https://www.paripari.jp/

夫の政男さんは元サラリーマン、妻の恵子さんは元小学校教諭。定年退職を迎えたお二人は、普段の食卓にヒントを得て、素材そのものの持ち味を活かしたノンオイルの野菜チップスを製造・販売する「パリパリ工房」を設立しました。ご夫婦で創業という第二の人生をスタートさせた豊田さんご夫妻に、創業までの道のりや現在の状況などについてお聞きしました。

創業するまでの道のりをお聞かせください。

山口大学工学部を卒業後、スチレン系樹脂の製造・販売を行う会社に就職しました。研究開発部門に25年在籍した後、製造や総務人事を担当し、2016年6月に定年退職しました。昔からものづくりが好きだったこともあり、退職して3〜5年のうちには自分の手でマイホームを建てようと計画していました。そこで、10月から下関にある山口県立西部高等産業技術学校の内装リフォーム科に入学して、1年間ほど家づくりに関する勉強をしました。その頃から、勤めに出ていた妻に替わって、簡単な夕食の準備をするようになりました。妻からのリクエストは、油を使わないノンフライヤーを使った料理が多かったですね。(政男さん)

どうしてノンフライの料理をよく頼まれていたのですか?

きっかけは夫の健康を気遣ってのことでした。毎年の健康診断の結果で、夫のコレステロール値が高いことが気になっていたんです。そこで、普段からコレステロールを含む食品や油を極力減らし、食生活を改善するように心掛けていました。そんなとき見つけたのが、油を使わないノンフライヤーという調理器具を使ったヘルシーな調理法です。インターネットで検索すると、ノンフライヤーを使ったいろいろなレシピが出ていました。その中で、野菜をスライスしてパリパリのチップスにする調理法が目にとまりました。これなら簡単だし、私が仕事でいない時に夫に作っておいてもらえるなと思ったんです。(恵子さん)
 いろいろな野菜で試した中で、特においしかったのがサツマイモでした。でも、中には焦げてしまうものや、パリッと仕上がらないものもありました。もっと均一においしいものを作るためにはどうすればいいのか…そこから試行錯誤を繰り返し始めました。ものづくり魂に火がついたんですね(笑)。(政男さん)

どうしてビジネスにしようと思われたのですか?

できあがった野菜チップスを、親戚や元同僚、友達、先輩などに配り、感想を聞いて回ったところ、みんなが「おいしい!」と言ってくれました。うれしく思ったのと同時に、これはひょっとしたらビジネスになるかもしれないと考え始めて…。職業訓練校にまで通ったのに、自分の手でマイホームを作る夢は保留になってしまいました(笑)。(政男さん)

そこから創業に向けてどんな準備をされたのですか?

まずは、量産化に必要な業務用乾燥機を購入したり、野菜を薄く切るためのスライサーを購入したり、足りない装置は自分で作ったりもしました。資金面のリスクをなるべく抑えようと、製造場所は空き家になっていた長門市三隅の実家を活用することにしました。ここなら自宅から車で1時間で通えますし、家賃負担もありませんので。原料となるサツマイモは鹿児島から調達しています。サツマイモといったらやっぱり鹿児島だろうと(笑)。現地に妻と視察旅行に出かけ、JAいぶすきさんからサツマイモを買い付けました。2017年の10月から試行錯誤を繰り返し、翌年の3月にようやく量産化にたどりつきました。(政男さん)

そのほかの準備はどうされたのですか?

ものをつくることは得意ですが、実際に売ることは経験したことがありません。そこで、小野田商工会議所が開催する起業セミナーや相談会に毎月足を運びました。中小企業診断士の先生からは、事業計画の立て方やターゲットの絞り方、パッケージングの仕方などをご指導いただきました。そのおかげで、誰に、どんな目的で、どのようにして売るのかをしっかりと考えることができました。一番苦労したのが簿記です。税理士の先生は日本語で説明してくださっているのに、専門用語が全く分からなくて…(笑)。そんな基本的なところから教えていただきながら、最終的には簿記ソフトを購入して対応するようにしました。パッケージは妻のお手製です。オリジナルキャラクターをはじめ、ラベルやシールなど、全て作ってくれたので助かりました。退職金があったので、資金は全て自己資金の範囲内でまかないました。(政男さん)

販売先はどうやって見つけられたのですか?

友達に仲立ちしてもらい、2018年4月に長門市の「道の駅 センザキッチン」に売り込みに行きました。駅長さんにお話したところ「ゴールデンウィークに販売促進をやってみませんか?」とのありがたいお話をいただきました。販売促進と言われても、何をしたらいいのか全く分かりませんでしたが、なんとか見よう見まねで、POP、のぼり旗、商品を並べる台などを作り、商品と一緒に店鋪に持参しました。販売当日は、裏の表示をじっくり見てからカゴに入れてくださったり、子どもたちが「おいしい!」と言って試食をしてくれたり、お客様の生の反応が見ることができて、とても嬉しかったのと同時に大変参考になりました。ものを売ることの素晴らしさを実感できた貴重な体験でしたね。(政男さん)

創業されてみていかがでしたか?

「この商品はいい!」と自分で思っていても、実際に売れるかどうかは別問題。周りが評価することです。創業する前は不安だったのですが、実際に買ってくださる方がいらっしゃることが分かったので、現状にはとても満足しています。(政男さん)
 夫婦の会話が増えました(笑)。振り返ってみると、若いときは仕事や子育てに必死で、お互いのことをあまりよく見ていなかったかもしれません。この歳になって夫婦で同じ目標に向かって走れるというのは、とても良かったなと思っています。(恵子さん)

その他、創業して良かったことは何ですか?

生産者の方、取引先の方、お客様など、たくさんの人に出会えたことです。創業したことによって、人とのつながりの中で生きていることを改めて確認することができました。当初はサツマイモ一本でいこうと思っていましたが、それだけだと物足りないなと感じ、ほかにも量産化できるものはないかいろいろ試しました。その中で、一番出来が良かったレンコンを商品化しました。レンコンは実家の近く、長門市三隅の人に作っていただいています。実は、その人は小学校のときの先輩だったことが分かりました。創業しなければ再会できなかったと思うので、そうしたご縁にも感謝しています。(政男さん)
 退職後はやっとのんびりできると思っていましたが、いざ退職してみると家にいて時間を持て余し気味でした。それに、何が一番苦痛だったかというと、人と話せないことでした。教師という仕事柄、常に人とコミュニケーションをとっているのが当たり前だったので、社会とつながっていないことに寂しさを覚えました。創業したことで、人とのつながりを感じられ、働くってこんなに幸せなことだったんだなと改めて気づくことができたのは大きな収穫でした。(恵子さん)

創業後、想定していたことと違ったことはありますか?

自分のペースで仕事ができるため、週2日は休みにしようと思って始めたのですが、今日はラベルを印刷しておこう、今日はパッケージをしておこうといった調子で…結局、何かしら手を動かしています。なかなかゆっくりできないのは、ちょっと誤算でしたね(笑)。(政男さん)

これからの課題や目標をお聞かせください。

始めたばかりなので、課題はたくさんあります。今後は、ジャガイモなど、いろいろなバリエーションを増やしていきたいと思っています。そして、もっと多くの方に知っていただき、買っていただきたい。イベントに出店したり、無添加食品を取り扱っているお店や宅配サービスに売り込みをかけたりしながら、リピーターを増やしていくのが目標です。現在、宇部空港や地元の酒屋さんなど、少しずつ販売先を広げているところです。これまでの人とのつながりを大切にしながら、今の自分たちにできることをコツコツと丁寧に積み重ねていきたいと思っています。(政男さん)

最後に、現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

事業を計画するときに、「他に類似品がないかどうか」「製品や技術、店鋪等の差別化が明確かどうか」など、客観的な視点を持つことが大切だと思います。その上で、自分の長所と短所を見つめ、長所は大いに活用し、短所をカバーする方法を見つけること。分からないことは、専門家に聞くのが一番です。事業を進めていく上で、想定外のことも発生すると思うので、「絶対にあきらめない」という強い気持ちを持って対応することも必要です。これまでの経験をフル活用して、ぜひチャレンジしてみてください!(政男さん)