創業者紹介

クッキー工房 ゆめらら

秋田 英理子

Eriko Akita

大好きなアイシングクッキーで創業!
その可能性を信じ、楽しみながら
自分らしく挑戦し続けていきたい。

秋田 英理子37years old

Eriko Akita

山口市生まれ、山口市育ち。大学卒業後は看護師として働くが、結婚・出産を機に退職。独学で始めたアイシングクッキーが子どもたちや友人に喜ばれる様子を見て、創業を決意。自宅に工房を設け、2017年9月に事業をスタート。
 
クッキー工房 ゆめらら
創業:2017年9月
住所:山口市黒川809-2
HP:https://ameblo.jp/cookieakita/

結婚・出産を機にキャリアを中断し、家事と育児に集中していたあるとき、子どもの喜ぶ顔を見たくて、自宅でアイシングクッキーを作った秋田英理子さん。ところが、アイシングクッキーの魅力の虜になったのは子どもたち以上にご本人でした。やがて「大好きなアイシングクッキーを仕事にしたい!」との夢を抱くようになった秋田さんは、2017年9月、ついにアイシングクッキー専門店「クッキー工房 ゆめらら」を創業。創業前の準備や創業してから学んだこと、そして今後の目標などをお聞きしました。

これまでの経歴と創業のきっかけを教えてください。

山口市内の高校を卒業後、県外の大学へ進学し、憧れの看護師になりました。看護師という仕事は、命を預かるというプレッシャーと忙しさで毎日大変ではありましたが、その分、喜びや達成感も大きく、とてもやりがいのあるものでした。結婚・出産を機に退職をしましたが、いずれは復帰するんだろうなとぼんやりと思っていました。けれど、家事や育児中心の生活を送る中で、さらに夢中になれるものに出会いました。それが、アイシングクッキーです。きっかけは「子どもたちの喜ぶ顔が見たい」、ただそれだけでしたが、実際に作ってみると、子どもたちももちろん喜んでくれましたが、それ以上に私自身がその可愛さと作る楽しさにすっかり魅了されてしまいました。「もっとたくさんの人に食べてもらいたい」「もっと多くの人にアイシングクッキーを知ってもらいたい」、だんだんとそんな気持ちが大きくなり、アイシングクッキーを仕事にする決断をしました。

これまでと全く異なる分野での創業に不安はありませんでしたか?

もちろん不安はありました。看護師とは全く違う食べ物を扱う仕事で、しかも雇われるのではなく、自分で経営する。それに、もともとが趣味のお菓子作りです。これを商売にするなんて、自分でも大胆な発想だと思います。けれど、どこか期待感もありました。子どもたちの反応もそうですが、友人や知人にプレゼントをすると、みなさんとても喜んでくださって。中には作って欲しいとお願いしてこられる方もいらっしゃいましたね。アイシングクッキーの存在自体はある程度知られていたと思いますが、まだそんなには流通しておらず、しかも山口市内に専門店もなかったので、これはいけるんじゃないかなと。「誕生日などのお祝いケーキに飾りたい人はきっといる。だったらケーキ屋さんからも受注できるんじゃないか」とも考えました。

創業のためにどんな準備をされましたか?

夫に自宅でアイシングクッキーの専門店を開きたいと相談したところ、「家族の空間に仕事を持ち込まないこと、借金は絶対にしないことの2つが約束できるならぜひ応援したい」と言ってもらえました。それからすぐに自宅に工房を作るため工務店に行きました。すると、「補助金などの情報が得られるはずだから」と商工会議所に相談に行くことを勧められました。商工会議所の方に相談させていただく中で気付かされたのは、やはり事業計画の必要性でした。けれど、経営に関しては全く知識がありません。そこで、まずは一から学ぼうと、山口商工会議所が主催する「山口起業カレッジ」と山口県、(公財)やまぐち産業振興財団が主催する「女性創業セミナーWITTY」に参加しました。それとは別に、いずれは講座も開けるようにと、アイシングクッキーマイスターの資格を取得しました。

起業塾とセミナーではどのようなことを学びましたか?

マーケティング戦略や財務管理の基礎、資金計画書や事業計画書の作り方など、経営に関するさまざまなことを学びました。最終的には資金の借り入れの際に必要となる金融機関への提出書類を完成させ、それを用いての事業計画のプレゼンテーションを行いました。とても実践的で、今すぐ役に立つものでした。しかしそれ以上に私にとって一番良かったと感じたことは、講師や他の参加者とアイデアを出し合ったり、情報を交換することで、自分自身の視野が広がったことですね。みなさんが創業にかける情熱にも刺激を受けました。起業塾やセミナーで出会った方々とは今でも連絡を取り合い、相談したり、励まし合ったりして切磋琢磨しています。もちろん、商工会議所にもいろいろな相談に乗ってもらっています。

資金集めはどのように行われたのですか?

借入金なしの全て自己資金です。自己資金は、知人からオーダーを受けたり、講師をしたり、カフェでアルバイトをして貯めました。カフェのアルバイトでは、アイシングクッキーの製造を担当したのですが、これはお客さまの反応を知るのにとても役立ち、開業前に貴重な体験をさせていただいたと感謝しています。貯めた資金は主に自宅の一角に工房を設けるための工事費となりました。小さな工房ですが、私にとっては集中できる快適な空間になっています。

創業後、現在の状況はいかがですか?

実際に事業をスタートさせてみて、初めて気付くことがたくさんありました。アイシングクッキーの製造はもちろん、打ち合わせや仕入れ、包装、発送の手配、そして営業や宣伝、経理、電話対応など、想像していた以上に一人で全ての業務をこなすのは大変でした。開業当初は売上を伸ばそうと、あれもこれもと全てを請け負っていましたが、それが必ずしもいいことではないということを身を持って学べましたね。このことで、いかに効率よく丁寧な仕事をするかを第一に考えるようになり、業務内容を見直すいい機会になりました。また、失敗からもたくさん学びました。一番印象に残っているのは、「想像と違った」とお客さまをがっかりさせてしまったことです。事前の打ち合わせや内容確認が不十分だったと反省するとともに、一人ひとりと綿密な相談をするには時間も労力もかかり過ぎ、非効率的だと判断できました。さらに完成イメージの共有はとても難しく、リスクが伴うことも理解できました。そのため、現在ではセミオーダー形式を採用することで、ロスを減らし、仕上がりのイメージがしやすいようにしています。過去の作品を見たうえで、信頼して注文してくださるお客さまを大切にしていこうと改めて思いました。

創業して良かったことはありますか?

何よりも大好きなアイシングクッキーをたくさんの人に知ってもらえ、感動してもらえるという喜びを肌で感じられることです。また、イベント出店やワークショップなどでいろんな人との出会いがあり、自分の世界が広がったのも嬉しいですね。大変なこともありますが、自宅で、しかもマイペースで仕事ができているため、家族との時間も大切にでき、毎日が本当に充実しています。子どもたちにとっても、母が一生懸命に仕事する姿を間近で見られることはいいことだと思います。働くことの尊さやものづくりの素晴らしさを少しでも感じ取ってくれていたら嬉しいですね。

今後の目標を教えてください。

創業したての頃は、より多くの人に見てもらえるような場所へ出向したり、SNSを活用して宣伝をしたり、気軽に参加できるワークショップなどを開催し、徐々に認知度を高めていきました。少しずつですがネットショップでの販売も始めました。その結果、多方面から声をかけていただき、売上は順調に伸びています。ゆめ花博への出品で2,000個近くの大量生産も経験し、自信もついてきました。なので、今後はその実績を生かし、ノベルティの提案など、個人から企業へと顧客開拓をしたいと考えています。そして、もっともっとアイシングクッキーを知ってもらえるよう、新しい分野にも挑戦していきたいですね。それと同時に、無理なく長く続けられるような働き方を見つけていきたいです。

現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

ほとんどの人が創業は初めての経験だと思います。「何から始めていいかわからない」と思っている人がたくさんいらっしゃると思います。まずは勇気を出して一歩踏み出して、商工会議所や役所、創業支援施設などに相談に行くことをおすすめします。情報を得られ、手段を学べるだけでなく、自分を支えてくれる方、応援してくれる方との素晴らしい出会いがきっと待っていますよ。創業後に忘れてはならないのは、小さくても真面目にコツコツと丁寧な仕事をしていく、ということ。そういった地道で誠実な努力は、誰かの目にとまり、その誰かからまた別の誰かへとつながっていくものですから。大事なのは大切なお客さまとのご縁です。いつも応援してくださる方への感謝の気持ちを忘れずに、ぜひ頑張ってください。