創業者紹介

CHEZ L’AMI JOT(シェ ラミジョ)

戸嶋 利雄

Toshio Tojima

「パン屋」という枠を取り払って、
いろいろな人がつながる、
まちのアンテナショップ的な場にしていきたいですね。

戸嶋 利雄32years old

Toshio Tojima

光市出身の32歳。下松工業高校を卒業後、広島の大手製パン会社に就職。その後、東京・フランス・大阪でパンや食について多角的に学び、平成28年末に帰郷。平成30年3月に、JR光駅北口に「CHEZ L’AMI JOT(シェ ラミジョ)」をオープン。
 
CHEZ L’AMI JOT(シェ ラミジョ)
創業:2018年3月
住所:光市虹ヶ丘2丁目11-8
HP:https://ja-jp.facebook.com/chezlamijot/

一見して何のお店かわからない外観、そして不思議な店名。ショーケースの奥にはミニコンサートや展示ができそうなスペース。「普通のパン屋にはしたくないんです!」と明るく話すオーナーの戸嶋さんに、創業までのいきさつや店づくりへの思いについてお聞きしました。

店名の「CHEZ L’AMI JOT(シェ ラミジョ)」にはどのような意味を込められたのですか?

大阪での修業時代、朝起きてコーヒーを飲んでいた時にふと閃いた言葉です。いつか自分のお店の屋号にしたいなと思ってずっと大切にしてきました。「CHEZ」はフランス語で「家、ところ」、L’AMIは、友だちを意味する「AMI」という女性名詞に冠詞のLがついたもの。JOTは僕の造語です(笑)。全くの偶然ですが、後ろから読んだら僕の名字「TOJIMA」になりました。「戸嶋という友だちの家」という感覚で、気軽に遊びにきてもらえるとうれしいですね。

創業するまでのプロセスをお聞かせいただけますか。

下松工業高校を卒業後、広島の大手製パン会社に就職しました。理由は、当時好きだった人がパン好きだったので(笑)。その人の喜ぶ顔が見たいという純情な動機でしたね。その大手製パン会社では約4年ほど働きました。その後、個人経営のパン屋を経て、25歳の時にワーキングホリデービザを使ってフランスに行きました。フランスの空気、匂い、音…。言葉にするのはとても難しいのですが、最初から自分にはしっくりときましたね。フランス語は片言しか話せなかったのですが、ホームシックになることもなく、毎日楽しく過ごすことができました。フランスと日本との大きな違いは、みんなが自分の意見をはっきりと言うところ。日本で自己主張をすると白い目で見られることもありますが、フランスでは自己主張をするのが当たり前で。日本とは全く違う環境に、初めは少し戸惑いもありました。わずか1年でしたが、製パン技術はもちろんのこと、自分の意見をしっかり伝えることの大切さを学ぶことができた、とても有意義な時間でした。また、当時フランスで言われ始めていた、体にいい材料を使って丁寧にもの作りをしようという原点回帰への流れにも、とても影響を受けましたね。
 帰国後は、パンと料理との関係を多角的に学ぼうと、パンづくり以外にもさまざまな体験をしました。農業をしたり、製菓店やレストランで働いたり…。そして、平成28年の暮れに帰郷。平成30年3月に「CHEZ L’AMI JOT(シェ ラミジョ)」をオープンしました。

創業の準備はどのようにして進められましたか?

知人からのアドバイスで、光商工会議所さんに相談しました。創業セミナーに参加して融資や助成金の制度を教えてもらったり、事業計画の立て方を学んだりしました。創業資金は、自己資金に加えて市の助成金、銀行や政策金融公庫の融資を受けて準備しました。光商工会議所さんには、開業してからもPRのしかたやリピーターの獲得方法、売れ残りを出さない適切な商品数の見極め方などいろいろな相談に乗ってもらっています。

創業までの苦労や失敗があれば教えていただけますか?

飲食店やパン屋に向いている物件が少なくて本当に困りました…。それに加えて、イベントや展示ができるフリースペースも絶対に欲しかったので、なかなか納得のいく物件が見つけられませんでしたね。今の店舗が見つかったのは本当にラッキーでした! 店舗の改装は、大工さんと話し合いをしながら一緒に進めていきました。什器の処分や床の張り替えを自分でやったことで、お店への愛着はより深まりました。
 想定外だったことは、オープン時に予定していたスタッフの数が揃わなかったことですね。募集したらすぐに応募があると思っていたのですが、オープン日が近づくのになかなか集まらなくて…。これにはかなり焦りました(笑)。人手が足らないので予定していたイートインの稼働ができず…。現在は、店内で食べたいという方には、お飲み物を持ち込んでいただくようにお願いをしています(笑)。

こだわっていることについて教えていただけますか?

販売方法ですね。多くのパン屋がセルフ式を導入していますが、当店では、ショーケースの中のパンを選んでいただく、ケーキ屋さんのような対面式を採用しています。効率を考えるとあまり良くないのかもしれませんが、一人ひとりのお客様に、パン作りに対する僕の想いやおいしい食べ方などをきちんとお伝えしたいと思っていたので。パンについてはもちろんのこと、お天気や地域のうわさ話まで、お客様との何気ない会話が楽しめるこのスタイルにして、大正解だったなと思います。
 パンの材料には、天然酵母や国産小麦を使っています。お客様に聞かれたらきちんとお答えできるように、自分の目と舌で確かめて納得したものだけを生産者から直接仕入れています。「こうでなければいけない!」と先入観で決めつけるのではなく、良いと思ったものは積極的に取り入れていきたいと思っています。面白いことに出会いたい、もっといいものがあれば試してみたいという好奇心は、いつまでも大事にしていきたいですね。
 また自分は、パン職人というよりも、パンを育てる人という感覚を持ちながら毎日のパン作りを行なっています。なので、パンを窯に入れる時には「行っておいで。おいしくなるんだよ!」と話しかけながらやっているんですよ(笑)。そうすることで、僕の気持ちがパンの出来あがりにも反映されるような気がして。これは、人に対しても同じことが言えると思うので、お客様にも丁寧で穏やかな応対をするように心がけています。

現在の状況はいかがですか?

オープンから半年が経ち、少し落ち着いてきましたね。平常時のペースはかなり掴めてきましたが、近くでイベントがある場合のお客様の流れはまだまだです。そのあたりの読みは本当に難しいですね。自己採点すると、100点満点でまだ50点くらいだと思います。

創業してよかったことは何でしょうか?

お客様の反応をダイレクトに受け取れることですね。「おいしかったよ!」という一言は格別の喜びです(笑)。その瞬間は、朝早くから夜遅くまでがんばっていることが報われますね!

今後の展望についてお聞かせください。

「CHEZ L’AMI JOT(シェ ラミジョ)」を地域の交流・情報発信の場にしていきたいですね。店名に、パン屋を意味するベーカリーとかブーランジェリーとかつけなかったのも、外にのぼりを立てないのも、「普通のパン屋にはしたくない!」という想いがあるからなんです。奥のスペースは、個展やミニコンサート、ハンドメイド作品の販売など、地域の方々にさまざまな形で活用してもらえればと思っています。取引のある農家さんやコーヒー屋さんなどとのつながりも活かせていけるといいですね。この場所が、地域の人にとってなくてはならない場所になれるように頑張っていきます!
 パン屋は、朝から夜遅くまでの長時間労働が当たり前だと言われています。それは、パン作りにはどうしても多くの手間がかかってしまうからなんです…。今までの考え方にとらわれない、短い時間で高い付加価値を提供できるような新しいやり方を考えていかないと、この問題を解決することは難しいと思います。なので、作業効率アップのための設備投資も積極的にしていきたいですね。次世代のためにも、パン屋の労働環境を少しでも良い方向に変えていかなければいけないと思っています。
 また今後は、地域のイベントにも積極的に出店していきたいですね。そして、今までに経験したさまざまなことを、少しずつでも地元に還元していければと思っています。

最後に、創業を考えている方に何かアドバイスをお願いします。

行政機関や商工会議所さんなどに相談するのももちろん良いのですが、実際にその地域で創業されている人に話を聞くことをオススメしたいですね。リアルな声はとても参考になると思います。僕でよければ全然相談にのりますよ。パン屋に限らず、創業を目指す人だったらどなたでも大歓迎です!