創業者紹介

かなやご企画

徳沢 靖

Yasushi Tokuzawa

建立した納骨堂をネットワーク化して
日本文化の象徴である
神社を守っていきたい。

徳沢 靖59years old

Yasushi Tokuzawa

高校を卒業後、山口県警察本部の警察官として約30年間勤務。2018年に、市民後見人および終活を目的としたNPO法人を立ち上げると同時に、神社の経済的支援を行うコンサルタント会社「かなやご企画」を創業。納骨堂の建立、墓じまいなどの終活全般の相談を受け付けている。東京大学市民後見人養成講座第12期修了、終活カウンセラー上級、終活ライフケアプランナー、不動産後見アドバイザー
 
株式会社かなやご企画
創業:2018年3月
住所:宇部市西岐波4406-6
HP:https://kanayago.com/

警察官として活動していた徳沢 靖さん。50歳で早期退職後、疲弊する神社の現状を知り、「日本文化を守るために、神社の経済的支援をしなければいけない」という強い思いを抱くようになりました。そして2018年に、納骨堂の建立、遺品整理、墓じまいなど、終活全般に関するさまざまなお困りごとに対応する「かなやご企画」を創業。現在、東京と山口を行き来しながら、事業のスケールアップに奔走している徳沢さんに、創業までの道のりや現在の状況、これからの目標などをお聞きしました。(取材日:2021年11月25日)

これまでの経歴を教えてください。

山口県警察本部の警察官として、約30年間勤務しました。40代後半に差し掛かった頃、体調を崩したことがきっかけで、今まで張りつめていた糸がぷつんと切れてしまって…。それで50歳を機に旅客業界に転職。管理職として労務管理や社員教育などに携わりました。入社してしばらくが経過した頃、新たに観光事業を立ち上げることが決まり、関連する資格取得に向けての勉強をはじめました。そこで初めて、日本文化の象徴である神社の多くが、後継者不足や経済的理由により危機的な状況にあるということを知りました。かつての神社は、地域の人々が集うコミュニティとしての役割を担っていましたが、今では観光や参拝のためだけの施設として形骸化しています。特に、地方にある小さな神社は、高齢化や人口減少で氏子の数が減り、収入の確保が難しくなっています。神社の消滅は日本文化の消滅。「なんとかしなければならない」という思いが沸々とわいてきました。

どうして創業されようと思われたのですか?

県内の神社仏閣の情報を収集する中で、知り合いだった宇部護国神社の宮司から、納骨堂を増設する計画があることを聞きました。納骨堂と聞くと、寺院を思い浮かべられる方が多いと思いますが、一部の神社では納骨堂を経営しているところもあります。納骨堂を建立すれば、神社の経済的問題を解決できるかもしれない。しかし、納骨堂の建設費用を捻出できるだけの体力がない神社も少なくありません。そこで、当社で建設費用を負担して、神社へ売上げの一部をお支払いするというビジネスモデルを思いつき、神社の経済的支援を行うコンサルタント会社を立ち上げようと考えました。

創業準備はどのようにされたのですか?

インターネットでフォーマットを入手し、独学で事業計画書を作成したものを、司法書士や税理士にチェックしてもらいました。また、警察官時代にさまざまな書類作成業務を行なっていたこともあり、許認可手続きに関する各種申請も比較的スムーズにできました。

宣伝はどのようにして行われたのですか?

まずは、宇部市内の各家庭に地道にポスティングして回りました。また、東京で開催されたエンディング産業展で知り合った仲介業者を通じて、墓専門のポータルサイトに、納骨堂の永代使用権の販売だけでなく、介護や葬儀、遺品整理など、終活全般にワンストップで対応しますという内容の広告を掲載しました。

現在の状況はいかがですか?

おかげさまで創業3年で、宇部護国神社の納骨堂の契約を約200件成立させることができました。この実績をもとに神社仏閣にヒアリング調査をしたところ、多くが納骨堂の建立に対して極めて前向きであるとの回答をいただきました。また、県外ユーザーからの問い合わせも増えてきており、全国的に潜在ニーズがあると確信しています。現在は全国展開への準備に向けて、やまぐちミライベンチャーに参加しビジネスプランをブラッシュアップしているところです。全国規模のピッチ大会に参加することで、ベンチャーキャピタルからの資金調達と全国でのネットワークづくりができればと考えています。

どのようなビジネスモデルをお考えなのですか?

全国の神社の敷地内に、統一規格の納骨堂を弊社負担で建立し、神社仏閣へは売上の一部を納めるというものです。アプリで全国の神社をネットワーク化することで、ユーザーはスマートフォンを使い、全国の納骨堂を自由に検索、選択でき、契約や支払い、転居などに伴うお骨の移動も簡単にできるようになります。10年後には団塊世代が多く亡くなる多死社会が到来し、市場規模は1.5倍以上となることが想定されます。予定通りの建立が進めば、年間375億円以上の売上、営業利益300億円程度になる見込みです。

創業して良かったことは何ですか?

全国各地にビジネスに共感してくれる仲間ができたことです。さまざまなご縁で仕事をさせてもらったり、アドバイスをいただいたり…本当にありがたいなと思っています。何をするにせよ、人とのつながりは大切。起業したことでいろいろな人々に支えられて今の自分がいることを改めて実感しました。

創業で苦労したことはありますか?

流れに身をまかせての創業だったので、資金や知識などすべての面において準備不足だったと感じています。事業を進めながら不足部分を補っていくのはとても大変です。創業前にしっかりと資金計画を立てることはもちろんのこと、マーケティングやブランディングなどについても勉強をしておけば良かったなと反省しています。

今後の目標を教えてください。

納骨堂を全国展開していくことです。今後、高齢化の加速や世帯数の減少に伴い、納骨堂はさらに必要とされるようになると信じています。弊社がトップランナーとして業界の先陣を切り、日本の文化そのものである神社を守っていきたいと使命感にかられています。

最後に、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

事業を始める際に最も大切なのは、「ミッション・ビジョン・バリュー」という企業理念を明確にすることです。ミッションとは会社が果たすべき社会的使命、ビジョンとはそのミッションをかなえるための具体策、バリューとはそれらを実現するための行動の基準となる自社の価値基準。これらがしっかりしておけば、事業を続けていく中で迷いや変化が生じても、どのように展開していけば良いのかを考える道しるべになります。また、これから始めたいビジネスの市場規模や対象となる顧客、競合、自社の強みを分析し、売上につなげるための筋道を立てたマーケティング戦略を練ることも大切だと思います。