創業者紹介

amillcoffee

酒井 直樹
酒井 アンナ

Naoki Sakai
Anna Sakai

目指すは「まちのコーヒー屋さん」。
コーヒーを通して人が集う場所をつくり、
人と人との絆を編んでいきたい。

酒井 直樹/酒井 アンナ

Naoki Sakai/Anna Sakai

2021年4月に、直樹さんの地元に近い山口県周南市に自家焙煎コーヒー店「amillcoffee」をオープン。地域に根ざしたコーヒー店を目標に日々奮闘中。直樹さんはコーヒー豆の香りと味を評価するカッピングの技術を競う全国大会「ワタルカップテイスターズチャンピオンシップ」で3回優勝、アンナさんは、2016年に、抽出技術を競う全国大会「ジャパン ブリュワーズカップ」で5位入賞するなど輝かしい経歴を誇る。
 
amillcoffee
創業:2020年11月
住所:周南市政所1-8-2
HP:https://amillcoffee.storeinfo.jp

下松市出身の酒井直樹さんは地元の高校から福岡の大学へ進学し、卒業後は神戸の食品卸会社に就職。自社のコーヒー工場で、豆の品質を比較・評価するカッピングを学んだことをきっかけにコーヒーの奥深さに魅了され、コーヒーの道へと進みました。2020年9月に山口県にUターンし、2021年4月に周南市に自家焙煎コーヒー店「amillcoffee」をオープン。夢を実現させた酒井さんと奥さまのアンナさんに、創業を決めた理由や創業までの道のり、現在の状況などについてお聞きしました。(取材日:2021年11月18日)

これまでの経歴を教えてください。

直樹さん:福岡県内の大学を卒業後、神戸の食品卸会社に営業職として就職しました。コーヒーに魅了されたのは、社内研修でコーヒー豆の香りと味を評価するカッピングを学んだことがきっかけです。それからは自分でも驚くくらいコーヒーの奥深さにハマり、趣味で焙煎をするようになりました。その後、勤めていた会社を辞めて自家焙煎珈琲店に転職しました。2020年9月に山口県にUターン。2021年4月に周南市にamillcoffeeをオープンし、現在に至ります。
アンナさん:私は東京都の出身で、デザインの専門学校在学中にカフェでアルバイトをしたことがきっかけでコーヒーに魅了され、10年以上にわたってコーヒー店でバリスタとして働いてきました。夫とは同じお店に勤めた縁で知り合いました。

どうしてUターン創業しようと思われたのですか?

直樹さん:家族に何かあったときに、すぐに駆けつけたいと思うようになったことから、地元に帰ることを決めました。以前から妻と二人で「いつか地域に根ざした『まちのコーヒー屋さん』を開きたい」という話はしていたので、Uターンのタイミングで自分たちのお店をオープンすることにしました。
アンナさん:夫から創業したいと相談されたときも、私の実家が飲食店を経営していることもあって、抵抗はありませんでした。東京以外で生活したことはありませんでしたが、移住も不安なく決断できました。私の両親は以前から「早く二人でコーヒー店を開けばいいのに」と言っていたくらいなので、山口に移住して創業したいと伝えるとすぐに賛成してくれました。

創業に向けてどのような準備をされましたか?

直樹さん:創業に関する補助制度についてインターネットで調べていたとき、東京の有楽町に「やまぐち暮らし東京支援センター」というのがあることを知り、すぐに二人で足を運びました。創業やUターンに関する補助制度を案内してくれたのはもちろんのこと、私たちの状況についても親身になって聞いてくださったので、とても心強かったです。
アンナさん:いろいろと集めた情報の中から、まずは「やまぐち暮らし東京支援センター」で教えていただいた(公財)やまぐち産業振興財団 「やまぐち創業補助金」に提出する資料作成から準備を始めました。提出資料の中には事業計画書に必要な項目がほとんど盛り込まれていたので、金融機関に提出する資料作りをするときにもとても役立ちました。
直樹さん:実は、初めの頃は下関市や山口市内で物件を探していました。いろいろと探し回った結果、ようやく理想的な物件に巡り会えたのですが、タッチの差で別の方が借りられることになって…。自分たちの中ではすっかりイメージが出来上がっていたので、しばらくは、物件探しをする気力が無くなってしまうぐらい落ち込みました。
アンナさん:しばらく経ってから気持ちを切り替え、まだ見ていなかった下松市と周南市で物件探しを再開したところ、現在の店舗に出会いました。郵便局、スーパー、お肉屋さん、パン屋さん、美容室など生活に必要なものがコンパクトにまとまっていて、「生活」が感じられるこの場所なら、「地域の方々に寄り添うまちのコーヒー屋さん」を目指している私たちにぴったりだと思いました。改装OK、退去時の原状回復もなしという好条件はもちろんですが、オーナーさんの気さくで親切な人柄にも惹かれて即決しました。

創業前で苦労されたことは何ですか?

直樹さん:何といっても、約3カ月かかった解体作業です。業者に解体費用を見積もってもらったところ、想像をはるかに超える費用がかかることが判明しました。それで、私たち夫婦とオーナーさんの三人で解体すると決めました。その時は、あんなにツライ日々が始まることになるとは、想像もしていませんでした(笑)。
アンナさん:解体の途中に設計士さんに建物を見ていただいたところ、取り払えると思っていた柱が、耐震性の関係で残しておかないといけないということがわかりました。さらにその後、インフラにもあちこち問題があることが発覚して、水道、電気、ガス全てをやり直すことになってしまいました。自分たちでできることは全てやりましたが、それでも当初の予算を200万円近くもオーバーしてしまって…。振り返ってみると、身をもって事前調査の重要性を学ぶ良い経験になったと思います(笑)。反省点は多々ありますが、自分たちの手で苦労してつくり上げたということもあって、とても愛着のあるお店になりました。

地元の方が多くご来店されているようですね。

直樹さん:オープン当初に、地元のテレビ局や新聞社に取り上げていただけたことが大きかったと思います。「友だちから聞いて来ました」や「プレゼントでもらったらおいしかったから買いに来たよ!」、「宣伝しておくね」などとお客様から声をかけていただくたびに、感謝の気持ちでいっぱいになります。一応、ホームページとインスタグラムを開設しているのですが、新商品や店休日のお知らせくらいしか発信できていない状況なので、今後はもっと活用していかなければと思っています。
アンナさん:とても長い期間、解体作業を行っていたので、周辺では「一体何ができるのだろう?」と少し噂になっていたそうです。とても大変でしたが、お店のプロモーションになっていたことを知ったときには、その苦労が少し報われた気がしました。

現在の状況はいかがですか?

直樹さん:ワークライフバランス的にはほぼワークのみになっていますが、毎日楽しくやっています。おかげさまで、コロナ禍ではありますが、ほぼ当初の計画通りに進んでいます。事業計画書と日々の実績との差を見比べながら、さまざまな対策を素早く行ったことが良かったのだと思います。
アンナさん:このような素敵なまちで自分たちの好きなことができるなんて、本当に夢のようです。最初は自分たちの好みで豆を仕入れていましたが、現在は通ってくださるお客さんの顔を思い浮かべながら選ぶようになりました。「このコーヒーはあのお客さんが好きそう」とか「こういうコーヒーもおすすめしてみたいな」などと考えていると、自分たちの理想とする「まちのコーヒー屋さん」に少しずつ近づけているような気がします。

今後の展望を教えてください。

直樹さん:今は営業時間のほとんどを焙煎に費やしているので、もう少しお客さんとの会話を楽しむ時間を増やしていきたいですね。そのためにできるだけ早く大型の焙煎機を導入したいと考えています。店名の「amillcoffee」の「amill」は、日本語の「編む」と英語の「will」を組み合わせた造語で、コーヒーを通じて人と人との絆を編みたい、そして、未来につなげたいという想いを込めています。これからもお客さんとの時間を大切に、人が集い、交流する場所にしていきたいと思っています。
アンナさん:新しい焙煎機が導入できたら、ネット通販にも力を入れていきたいと考えています。そしてコロナが落ち着いたら、コーヒーのセミナーやイベントにも参加していきたいです!

最後に、現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

アンナさん:物件を契約する前には必ず設計士さんなどの専門家に見てもらってください。それと、創業補助金の申請にもチャレンジしてみるといいと思います。事業内容を客観的に見ることができたのはもちろんのこと、経営に関するさまざまなことについても学ぶことができたので、ぜひ、おすすめしたいですね。
直樹さん:自分の中にブレない軸をもつことが大切だと思います。「これをやりたい」「ここだけは譲れない」というものがあれば、きっとどんな困難にも立ち向かえるはずです。そして、自分が毎日を楽しめるかどうかをしっかり考えてみることも大切だと思います。成功するかはわかりませんが、毎日が楽しければ「続けたい」と思えるはずです。ぜひ一度、自分の気持ちと向き合ってみてください。