創業者紹介
Photo Office MOTHER LEAF
渡辺 美沙
Misa Watanabe
写真を通して「愛」を伝え、
世界中の人々の心を
豊かに満たしたい。
渡辺 美沙47years old
Misa Watanabe
下松市出身、光市在住。短大を卒業後、一般企業に就職。平日は事務の仕事をこなしながら、土日は広島の写真館に通う生活を1年続け、撮影技術を学ぶ。2005年よりウエディングフォトグラファーとして活動をスタート。2010年、自宅に撮影スタジオを構え「Photo Office MOTHER LEAF」を創業。
Photo Office MOTHER LEAF
創業:2010年2月
HP:http://motherleaf-photo.jp/
写真を撮り始めたきっかけを教えてください。
高校の部活動で写真部に入部したのがきっかけです。自分の世界を表現できる楽しさを知り、カメラに夢中になりました。短大時代に所属した写真サークルでは、プロの報道カメラマンだった顧問の先生の指導のもと、写真で伝える力を身につけていきました。卒業にあたって先生から東京でフォトジャーナリストとして働いてみないかとお誘いを受けましたが、事件や事故現場を撮影することに心苦しさを感じると同時に、慣れない都会での生活に不安を覚えて、地元の一般企業の事務職に就きました。写真は、地元の写真サークルに入って、趣味として撮り続けていました。
フォトグラファーに転身したきっかけを教えてください。
ターニングポイントとなったのが私自身の結婚式でした。このとき初めて、結婚式場で働くプロのフォトグラファーの存在を知りました。「おめでとう」とたくさんの祝福に包まれたこと、おばあちゃんが涙を流しながら喜んでくれたこと…感謝と感動で胸がいっぱいになり「私が撮りたかったものはこれだ!」と、プロになることを決意しました。その後、友達の結婚式などを撮影して独学していたのですが、3カ月で限界を感じてしまい…(笑)。ちょうどその頃、広島市にある大手写真館が光市に結婚式場をつくるために、地元でカメラマンを育成するという話を耳にしました。これはまたとないチャンスと思い、平日はOLとして働きながら、土日は広島でプロのもとで実践経験を積みました。1年が経過して、ある程度自信もついてきたので、それまで勤めていた会社を退社し、フリーのフォトグラファーへと転身しました。
周りの反応はいかがでしたか?
フリーランスは、仕事がなければ収入がゼロという厳しい立場です。周りからは「一体どうして…」と驚かれました。父と母からもかなり心配されましたね。でも、夫だけは私のチャレンジを快く応援してくれました。振り返ってみると、向かい風に吹かれたことで、誰に何と言われても「絶対にやるぞ!」と、自分を奮い立たせせることができたのだと思います。
会社員からフリーランスに転身してみていかがでしたか?
独立した当初は、結婚式場から依頼された仕事をメインに活動を続けていましたが、なかなか売上は安定しませんでした。結婚式のオフシーズンのときには、収入がゼロの月もありましたね。ある程度覚悟はしていましたが、やはり好きなことを仕事にするのは大変だなと痛感しました。さらに、転身して4年目には第一子を妊娠。カメラを抱えて動き回るハードな仕事に、すぐにドクターストップがかかってしまいました。出産してからしばらくは仕事を休んでいたのですが、結婚や出産を控えた友人や知人から撮影を依頼されるようになり、再び撮影への思いを強くしました。ちょうどその頃、トップウエディングフォトグラファーズ協会(現在の日本ウエディングフォトグラファーズ協会)の存在を知り、「日本のトップに会いに行こう!」と勉強会に参加してみました。そこで初めて、東京でバリバリ活躍されている先輩方と触れ合い、刺激を受けたことをきっかけに、マタニティーやベビーフォトなど、ウエディング以外の撮影にも積極的に携わっていくことを決意。早速、ホームページを作成し、自宅リビングをスタジオに改装して、2010年に「Photo Office MOTHER LEAF」を立ち上げました。
創業後、事業は順調だったのですか?
ホームページを作っても、待っているだけでは集客できません。どうすればいいのかと悩んでいたところ、SNSで知り合った方から、東京でブランディングを専門にされている先生を紹介していただきました。早速、東京に出向き、「SNSを使ったセルフブランディング」の方法についてみっちりと教わりました。そのおかげで、SNSのフォロワー数が一気に増え、コンスタントに仕事の依頼が入るようになりました。影響力を持つことのスゴさを痛感しましたね。そして、先生と一緒に考えたのが「心を豊かに満たす愛の写真、ハートフルフォトグラファー」というキャッチフレーズでした。「写真を通じて愛を伝えていく」というコンセプトが定まったことで、自分の本当にやりたかった仕事ができるようになってきたと思います。
現在の状況について教えてください。
ウエディングはもちろん、マタニティー、ベビー、ファミリーと、自身の人生と照らし合わせるかのように撮影の幅が広がっていきました。また、カメラ好きの女性に向けた講座や起業家に向けた講演会など、講師業の仕事も増えました。2007年からは、自らが編集長を務めるフリーペーパー「マザーリーフ」を発行し、個人のお客様だけでなく、地元企業やクリエーターとのつながりも広げています。
女性創業セミナーWITTYで学ばれたとお聞きしました。
第2子を妊娠中、知人が紹介してくれたのが、山口県と(公財)やまぐち産業振興財団が主催する「女性創業セミナーWITTY」でした。最初はあまり関心がなかったのですが(笑)、「一生の友達に出会えると思うよ!」という一言が心に響き、参加することにしました。さまざまな人と交流することで、自分自身の可能性を広げられただけでなく、頭の中をスッキリと整理することができました。参加して一番良かったことは、信頼のおける起業家の仲間ができたことです。WITTYを卒業してからも、経営の悩みを相談したり、業種を超えたさまざまなコラボレーションをしたりしています。創業のための基礎知識や事業を成功させるためのヒントなどを教えてもらえるので、これから起業を目指す女性はもちろん、既に起業されている方も、ぜひ受講をおすすめします!
創業して良かったことは何ですか?
創業したことで人生観が変わりました。あのままOLを続けていたら、仕事はあるのが当たり前だと思い込んでいたかもしれませんね。今こうしてフリーとして仕事ができているのは、いろいろな人の協力のおかげです。一人の力だけではできないことを痛感したことで、周りに感謝できるようになり、人生がより豊かになったように思います。
ワークライフバランスはいかがですか?
2児の母として子育ても奮闘中です(笑)。撮影や講師の仕事などで家を空けることも多くて大変ですが、保育園や家族の協力を得ながらなんとかこなしています。土日も仕事が入ることが多いため、家族と触れ合う時間は限られますが、どんなに忙しくても、参観日などの学校行事には足を運ぶように心掛けています。私自身、母に来てもらって嬉しかった記憶があるので、自分がされて嬉しかったことは子どもにもしてあげたいと思っています。
今後の目標をお聞かせください。
今後は、全国のプロカメラマンに向けたマタニティーフォトの講座を展開していき、マタニティーフォトの普及と後進の育成にも力を入れていきたいと考えています。一定の知識と技術を身につけた合格者には認定証を交付して、誰でも同じように撮影ができる仕組みをつくる予定です。現在、講座のスタートに向けて、補助金の申請の準備を行っている段階です。ほかにもやりたいことがたくさんありすぎて…数えだしたらキリがないですね(笑)。
創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。
大切にしてほしいのは「運」と「縁」です。チャンスが来たら逃さないこと。もし、困難にぶつかっても、物事をポジティブに捉えることで、それをチャンスに変えることができます。そして、自らが積極的に動くことで、縁は広がっていきます。自分がやりたいことを声に出して意識することで、自ずと行動が変わり、協力者も増えていくと思います。それから、WITTYなどの起業セミナーに参加したり、商工会議所に相談したりして、専門家の意見を聞くことも大切です。たくさんの出会いを大切にしながら、夢に向かって果敢にチャレンジしてください!