創業者紹介

ビストロ ナオ

山中 直美

Naomi Yamanaka

お客様の笑顔を見るのが私の幸せ。
忙しい毎日ですが、
やりがいと充実感を感じています。

山中 直美45years old

Naomi Yamanaka

山口県宇部市生まれ。15年間の福岡暮らしのあと帰郷。宇部商工会議所の起業塾を受講し、平成27年4月にフランス料理と自家製パンの店「ビストロ ナオ」をオープン。

 

ビストロ ナオ

創業:2015年4月

住所:宇部市子小松原町1-6-24

HP:http://www.bistronao.jp

「フランス料理を気取らずに楽しめるお店」がコンセプトのビストロナオ。食材の仕入れ、メニュー考案、調理とフル回転の毎日を送るオーナーシェフの山中さんに、創業までのプロセスや仕事のやりがいなどについてお聞きしました

ビストロナオはどんなお店ですか?

フランス料理をカジュアルに楽しんでいただくレストランです。「ビストロ」とはフランス語で「食堂」のこと。敷居が高いと思われがちなフランス料理を、気軽にそして気取らずに召しあがっていただきたいという思いから、この名前にしました。3種類のランチには、「プティポワ(グリンピース)」「ポティロン(カボチャ)」「ペコロス(小玉ねぎ)」と、おなじみの野菜のフランス語名をつけています。かわいらしい音の響きからも、カジュアルな雰囲気を感じていただけるとうれしいですね。

創業するまでは何をなさっていたのですか?

昔から料理が好きでしたが、高校卒業時点では料理の道に進むかどうか決められず、福岡の大学に進学しました。アルバイト先のイタリアンレストランで経験を積む中で「料理の道に進もう」という気持ちが固まり、在学中に調理師免許を取得、そのまま就職しました。アルバイト時代も含めて約6年間勤めた後、ホテルのレストランに転職。そこでフランス料理を知り、その奥深さに魅了されました。その後、個人経営のフレンチレストラン勤務を経て、7年前に宇部に戻ってきました。

創業しようと思われたのはどうしてですか?

料理人というのは「いつかは自分の店を」と夢見るものなんです(笑)。Uターン後は、宇部全日空ホテル(現・ANAクラウンプラザホテル宇部)のレストランで働いていましたが、もっと気軽にフランス料理を楽しんでもらいたいという想いがどんどん強くなってきて…。そういうお店が他にないのなら、私がやるしかない!と(笑)。「宇部でフランス料理店は難しい」と言われましたが、カジュアルなイタリアンレストランがあるんだから、カジュアルなフレンチレストランも受け入れてもらえると考え、創業を決意しました。

創業までの準備について教えてください

実際に動き始めたのは創業する1年半くらい前ですね。何かきっかけがつかめるかもしれないという程度の軽い気持ちで(笑)、宇部商工会議所主催の起業塾に参加しました。事業計画書を作るうちに、自分がやるべきことがより具体的に見えてきたので、参加して良かったと思います。宇部商工会議所さんには、今でも相談に乗っていただいたり、アドバイスをいただいたりと大変お世話になっています。

創業資金はどのように準備されましたか?

自己資金と親からの借り入れでまかないました。大きな買い物は最初にしておいたほうがいいと考え、高価でも必要なものはできるだけ揃えました。特に、一度にたくさん焼くことができるコンベクションオーブンは、作業効率アップに欠かすことができない優れもの。値は張りましたが、購入して大正解でしたね。

創業までに苦労したことはどんなことですか?

いちばん大変だったのは物件探しでした。思い描いていた条件に合うものがなかなか見つからず、心が折れそうになりました。現在のこのお店は知り合いの酒屋さんの紹介です。中心市街地からは少し離れていますが、大通りに面している上に12台分の駐車スペースもあって、ランチ営業にはうってつけ。一目見て気に入りましたね。元々は座敷もある造りだったのを、枠だけ残して全部リフォーム。シックで温かみの感じられる店にしたくて、木をふんだんに使いました。希望に添う物件にようやく巡り会えたことで、オープンに向けて一気に加速しました。

現在の状況はいかがですか?

地元の新聞や情報誌で取り上げていただいたこともあって、ほとんど広告も出していないのに多くのお客様にお越しいただいています。リピーターも順調に増えていて、地域に受け入れていただいているという手応えを感じています。仕入れ、メニューのプランニング、料理、経理と毎日忙しいですが、お客様の「おいしかったよ」という笑顔を励みに頑張っています。

心がけていることは何ですか?

地元産の旬の素材を使い、できるだけ手作りすること。パンやデザートは毎日数種類作り、選んでいただけるようにしています。おかげさまで、パンだけを買いに来られる方もいらっしゃいます(笑)。また、素材の味を活かすために生クリームやバターは控えめに、そして野菜をたっぷり使うように心がけています。鴨やシカなどのジビエ料理もメニューに加えたいのですが、このあたりではまだまだハードルが高いみたいで…。「これが本物のフレンチよ!」と出したい気持ちもあるんですけどね(笑)。お客様が求められるものと自分の想いとのバランスをどう取るかを考えながら、ビストロナオの味を追求していこうと思います

困っていることや苦心していることはありますか?

食材や調味料によっては調達に苦労することがありますね。扱っている会社が近くになかったり、発注しても届くのに時間がかかったり。都会に比べると入ってくる情報も少ないので、常にアンテナを張り、情報収集するように心がけています。

今後の展望をお聞かせください

フランス料理をもっと身近に感じて楽しんでもらえるように、全ての面でレベルアップしていきたいです。自分がいるからこその「ビストロ ナオ」だと思うので多店舗化は考えていません。現在は、予約が入った時にだけディナー営業をしていますが、10歳の息子がもう少し大きくなったら、レギュラーにしていきたいと思っています。その時には、お酒の品揃え、特にワインをもっと充実させていきたいですね。私のモットーは「有言実行」。今の自分にできる小さなことをコツコツと続けて、丁寧に積み重ねていきたいと思っています。

創業を考えている人に何かアドバイスをお願いします

事業計画書をしっかりと作成することをおすすめします。事業の目的、収支計画、将来のビジョンなどを言葉や数字でまとめることで、方向性がハッキリとし、やるべきことがクリアになってきます。起業塾を受講したり、商工会議所や行政等の支援機関に相談したりするのもいいと思います。自分だけで考えると、どうしても一人よがりになってしまいがちですから。専門家から客観的なアドバイスをもらうことで、成功する確率はグンと上がると思います。