イベントレポート

Introduction

2023年1月21日、山口県旧県会議事堂夢交流ホールにて、「やまぐち社会起業塾」の最終発表会が開催されました。受講生12名が半年にわたって練り上げてきた、「社会課題を解決するためのビジネスプラン」を発表。その中から「YSE PRISE(Yamaguchi Social Entrepreneur 大賞)」と「EMPATHY PRIZE(共感大賞)」にそれぞれ1名が選ばれました。

「やまぐち社会起業塾」
https://socialvalue.jp/yamaguchi_sej

やまぐち社会起業塾 最終発表会

開催日時:2023年1月21日(土)12:00〜17:00

①オープニング
やまぐち社会起業塾および最終発表会概要の説明
②塾生による最終発表(発表者:12名)
塾生による10分間のプレゼンテーション/伴走支援者によるフィードバック
③表彰式/修了証授与式
「YSE PRISE(Yamaguchi Social Entrepreneur 大賞)」1名 ※伴走支援者らにより決定
「EMPATHY PRIZE(共感大賞)」1名 ※来場者の投票により決定
④クロージング
伴走支援者挨拶/主催者挨拶/総括

開催場所:山口県 旧県会議事堂 夢交流ホール


主催者:山口県

●内容

社会課題への対処や多様な創業の促進を通じて地域経済の活性化を図るため、社会課題解決にビジネスで取り組む「社会起業家」を育成するプログラム。2022年7月にスタートし、12回の連続講座や個別面談等により社会的起業に係る知識習得やビジネスプランのブラッシュアップを実施。また、大学の学長や起業家、士業、金融機関など各分野のプロフェッショナルで組成される「伴走支援チーム」が、ビジネスモデルへの助言等を行い、起業までを万全の体制でサポートする。

実施期間:令和4年7月〜12月
参加者数:13名
対象者:解決したい社会課題を持ち、山口県内での創業を目指す者

プログラム
・社会起業(家)事例研究
・社会起業家の3要素①
・社会起業家の3要素②
・コンセプトメイキング①
・コンセプトメイキング②
・マーケティングプランニング①
・マーケティングプランニング②
・ビジネスモデリング①
・ビジネスモデリング②
・ファイナンス&アカウンティング①
・ファイナンス&アカウンティング②
・事業計画書の完成
・成果発表会

総合企画:西京銀行
プログラム企画・運営:社会起業大学
伴走支援者:大学関係者、起業家、士業、金融機関、メディア

やまぐち社会起業塾 産官学民+メディア連携モデル

市民である社会起業家と産官学やメディアが協働しながら社会課題の解決に向かう「やまぐち社会起業塾」独自のエコシステム

●発表テーマ

・「食品ロスと小麦アレルギーの課題をグルテンフリーの米粉ラザニアで解決」永塚真也さん
・「日本の労働力不足の課題を外国人に特化した職業紹介事業で解決」安永紘輔さん
・「人口減少と地域活性化の社会課題を中華圏観光客向けオーダーメイド旅行サービスのビジネスで解決」劉清さん
・「孤独・孤立を抱える“おひとりさま”の課題をシェアオフィスビジネスで解決」大野令鼓さん
・「地域空洞化の課題を空き家シェア・管理のビジネスで解決」松添栞士郎さん・乘添謙次さん
・「防災の課題を山口県内独自の取組で解決」川北真三郎さん
・「美祢市ジオパークの魅力を伝えるために研究者のアートを活用!」中川孝典さん
・「地域の人不足の課題を学びなおし・キャリア教育のビジネスで解決」岩本絵梨子さん
・「文化喪失の課題をITのビジネスで解決」得重収さん
・「教育格差を多様な大人との出会いと学びで解決」山本敏明さん
・「海洋ゴミ問題を遊んで学べるUXで解決」大村隆さん

「やまぐち社会起業塾」の運営を務める社会起業大学の学長・林浩喜氏により、プログラムの概要が説明された後、いよいよ最終発表会がスタート。社会起業やソーシャルビジネスに関心のある傍聴者約40名が見守る中、発表者12名は、地域空洞化や防災、人手不足、海洋ゴミといったさまざまな社会課題を解決するビジネスプランについて、それぞれ10分間のプレゼンテーションを行いました。また、各プレゼンテーションに対して、大学の学長や起業家、士業、金融機関などの伴走支援者からフィードバックが行われ、それらに耳を傾ける受講者の真剣な表情から社会課題解決にかける熱い想いが伝わってきました。伴走支援者による審査と傍聴者による投票の結果、「YSE PRISE(Yamaguchi Social Entrepreneur 大賞)」に中川孝典さん、「EMPATHY PRIZE(共感大賞)」に川北真三郎さんが選出されました。授賞式終了後には、発表者全員に修了証書が授与され、林塾長から「『山口を変える、日本を変える、世界を変える』というスローガンは、社会を良くしたいという信念を曲げずに進んでいけば絶対に実現できるはず」と激励の言葉が贈られました。
これから受講生たちは、ビジネスプランの実現に向けて取り組んでいきます。山口県に社会的な問題を解決するビジネスが、一つ、また一つと増えていく、そんな希望を感じさせる熱気溢れる発表会でした。

●受賞者の声
YSE PRISE(Yamaguchi Social Entrepreneur 大賞) 中川孝典さん(地質研究者)

「美祢市ジオパークの魅力を伝えるために研究者のアートを活用!」
林塾長をはじめとする、さまざまな分野のプロフェッショナルである伴走支援者のみなさんの支援のおかげで、自分のビジネスプランをあらゆる角度から見つめ直し、よりよいものにブラッシュアップすることができました。大きな収穫だったのは、社会貢献を軸としたマインドが十分にビジネスになること、そしてそのビジネスが、これからの社会において大きな可能性を持っていると実感できたことです。今後は、このビジネスプランを実現させ、美祢市の魅力、地質学の魅力をもっと多くの人に届けたいと思います。そして、ゆくゆくは全国展開し、それぞれの地域の活性化と、それぞれの地域で活動している研究者の支援につなげていければと考えています。社会課題を解決したいという夢をお持ちの方は、このような社会起業塾に参加することをおすすめします。

[ビジネスプラン概要]
社会課題は「美祢市の地域活性化」。秋吉台や秋芳洞などの地質を、地質研究者の描いたスケッチやドローイングでわかりやすく表現したアート本を出版・販売。美祢市への好奇心や関心を高め、地域活性化へとつなげると同時に、得た収益を若い研究者の基礎研究費へと還元させていく。

EMPATHY PRIZE(共感大賞) 川北真三郎さん(現役消防士)

「防災の課題を山口県内独自の取組で解決」
高い確率で発生が予想されている南海トラフ大地震に対し、防災に関わる人間として何か対策できないかと、約10年間、悶々と悩んできました。今回「やまぐち社会起業塾」に参加したことで、行政と連携を図りながら死傷者ゼロを目指すのがベストだという答えに辿り着くことができました。解決の糸口を掴むことができた一方で、ビジネスとして成立させるための難しさも痛感しました。まだまだビジネスプランを発展させる必要はありますが、一歩ずつ実現に向けて歩んでいこうと思っています。もし、社会問題に対して自分の中で思うことがあれば、まずはこの「やまぐち社会起業塾」の門を叩いてみることをおすすめします。林塾長をはじめ伴走支援者のみなさんのサポートがあれば、より実現性の高いビジネスプランにたどり着くことができると思います。

[ビジネスプラン概要]
社会課題は「近い将来予想される南海トラフ大地震対策」。消防士としての20年以上にわたる被災地での救護経験を活かして、書籍や映像、アプリ等を作成。小・中学生をターゲットに防災教育を行うことで、「自ら判断し、自ら行動できる人材」を育成し、自然災害を乗り越える基盤をつくる。

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