創業者紹介

フラワーガーデン日の出

川野 哲郎

Tetsuro Kawano

花に関することなら何でも応えられる
ゼネラリストになりたいですね!

川野 哲郎51years old

Tetsuro Kawano

山口市出身の45歳。40歳目前にアルバイトで入った「フラワーガーデン日の出」を平成28年11月に承継。「新聞販売店」との二足のわらじを履きながら、「手に入らない・できないを言わない」をモットーに、顧客のさまざまな要望に応えている。好きな花は、桜と紫陽花。

アルバイトで手伝い始めた生花店の仕事。独立を考えはじめていた2016年の9月に、おもいがけず事業承継の話が持ち上がりました。後継者という形で自分の店を持つことになった川野さんに、創業のきっかけや仕事に対する思いなどについてお聞きしました。

これまでの経歴について教えてください。

一度、大学進学で山口を離れていましたが、20代半ばでUターンしてきました。いくつかの仕事を経験したあと、30歳過ぎから新聞販売店で働きはじめました。年々、新聞購読者数が減少していっている状況を見て、このまま新聞販売店で働き続けた方がいいのか、それとも転職した方がいいのか、将来について色々と考えるようになっていきました。そして40歳を目前にした頃、難しい選択ではありましたが、思いきって退職することを決めました。ちょうどその時、「フラワーガーデン日の出」を経営している友人から、花の配達のアルバイトをしてもらえないかという話がありました。それが「花」に携わるようになったきっかけですね。アルバイトを始めて数ヶ月が経った頃、たまたま店番をしていたことがありました。その時に、来店されたお客様からの質問に全く応えることができなくて…。配達のアルバイトとはいえ、お店に立っている以上は、お客様からの質問にきちんと答えられるようになりたい、花束やアレンジメントも作れるようになりたいと、そのことをきっかけに、強く思うようになりました。そこから必死になって勉強をはじめ、フラワー装飾技能士2級を取得しました。試験までの約8ヶ月間は、お店に来られる華道の先生に手ほどきを受けながら、体に覚えこませようと懸命に練習しました。試験直前は「合宿か?」と思うほどの猛特訓でしたね(笑)。

いつ頃から起業をしようと考えられていたのですか?

本格的に準備をしようと考えたのは、アルバイトを始めてから4年が経過した2016年頃です。その頃には、花束やフラワーアレンジなど、一通りの仕事は任せてもらえるようになっていました。そうすると、少しずつ自分の思うようにやってみたいという気持ちが出てきて、自然と独立について考えるようになっていましたね。そして、フリーペーパーに山口商工会議所が主催する「起業塾」の広告が掲載されているのを見て、2016年7月から参加することにしました。起業塾では、マーケティング戦略の基本や財務管理の基礎、事業計画の作成など、創業に必要な基本的な知識を学びました。参加する前は、どこか堅苦しいイメージを持っていたのですが、意外とカジュアルな雰囲気でしたね。また、参加していたメンバーがみんな個性的で、とても良い刺激を受けました。今でも、参加者同士でさまざまなコラボをするなど、交流を続けています。この起業塾に参加していなかったら、今の自分はいなかったと思いますね。

事業承継をするきっかけについて教えてください。

「起業塾」に参加して2ヶ月が経った頃、オーナーから「お店を引き継がないか?」と持ちかけられました。本当に突然のことでビックリしました。そこでオーナーに「もし自分が引き継がなかったら、このお店はどうなってしまうのか?」と尋ねると「廃業をする」との返事でした。このままお店がなくなってしまうと、華道の先生やお店に飾る花をオーダーしてくださっている飲食店さんなど、昔馴染みのお客様に多大なご迷惑をかけてしまうことになってしまいます。顧客をそのまま引き継げること、そして出店費用を抑えることができるなどのメリットを考えて、独立ではなく、事業承継をすることを選択しました。

創業資金はどのようにして準備されましたか?

2つの信用金庫さんから借入をしました。「起業塾」の最後に、金融機関の方々に事業計画についてのプレゼンテーションを行うのですが、そのおかげで、金融機関の担当者とのつながりができ、想像していたよりもスムーズに融資を受けることができました。事業計画書作成について指導をしていただいた講師の方々、色々と励ましていただいた山口商工会議所のみなさんのおかげだと感謝しています。借入金は、営業権の取得金、花市場に参入する権利金、仕入れや配達に使う車の購入、花用の冷蔵庫の購入費などに充てました。

現在の状況について教えていただけますか?

実は、花屋を引き継ぐことにしたのとほぼ同時に、以前勤めていた新聞販売店からも経営をしてほしいと話がありました。花屋が安定するまで、収入の柱がもう一本あったほうがいいと考えて、大変になるのは想像できましたが、これも引き受けることにしました。今は「フラワーガーデン日の出」と「新聞配達店」の二足のわらじを履いています。休みも少なく、毎日ハードなスケジュールですが、妻も一緒に働いてくれています。若い頃から僕のことを見守ってくれている妻には相当な負担をかけてしまっていると思います。妻の頑張りには本当に頭が下がりますね。いつも感謝しています。

創業してからの苦労について教えていただけますか?

日々の仕事をこなしながら、新しい情報をインプットしていくのが大変ですね。毎年、次々と新しい品種が出てきますし、流行の移り変わりもあります。さらに、SNSが普及したことで、情報感度の高い人もどんどん増えています。また、華道の先生たちからのお稽古用の花材のオーダーにお応えするのにも苦労しています。流派によって、また先生おひとりおひとりの好みによって望まれるものが全く異なります。長さ、曲がり方、花のつき方などの細かいところまで、同じものを揃えないといけません。それなのに価格は30年前からほとんど変わっていないんですね(笑)。市場で入手できなければ、生産者さんの畑に行ったり、妻の実家の山で探したりもしています。「ない」と簡単に言いたくないですし、生け花用の花を扱う花屋が減っているからこそ、自分がやらないといけないと思って踏ん張っています。幸い、先生方や花好きのお客様がしょっちゅうご来店くださるので、他愛ないおしゃべりの中から、知識やノウハウを貪欲に吸収しています。

将来の目標について教えてください。

以前は生花だけを扱っていましたが、事業承継してからは、ドライフラワー、観葉植物、プリザーブドフラワー、ハーバリウムキットの販売など、さまざまな新しいことにチャレンジをしています。これからも常にアンテナを張り巡らせて、トレンドを意識した品揃えをしていきたいですね。また、今はまだ手が回っていませんが、いずれはインターネットでもドライフラワーやフラワーアレンジメントの販売をしていければと思っています。そして、花に関すること知識や技術を身につけて、花のことで困ったら「フラワーガーデン日の出」と思ってもらえるような、どんなことでも応えられる花の“ゼネラリスト”を目指していきたいですね!

最後に、創業を志している人にアドバイスをお願いします。

やりたいことがあるんだったら思い切ってやってみることをオススメします。「やった後悔」よりも「やらなかった後悔」のほうが大きいと思います。たった一度の人生です。ダメだったら止めればいいだけですから!今の僕があるのは、山口商工会議所が主催する「起業塾」のおかげです。起業や経営に関するさまざまなノウハウはもちろんのこと、新しい人との出会いも得られるので、創業をお考えの方には「起業塾」を受講することを、強くおススメしたいですね!