創業者紹介

Kashiya.K 焼菓子店

尾﨑 恵子

Keiko Ozaki

憧れの洋菓子店を移住創業。
自分がおいしいと思うもので
たくさんの人を笑顔にしたい。

尾﨑 恵子35years old

Keiko Ozaki

山口県下関市出身。高校卒業後、大阪の製菓専門学校に進学。その後、東京の洋菓子店とカフェで、約12年間パティシエとして働く。コロナ禍をきっかけに2021年7月にUターン。同年11月に、マフィンやスコーンといったボリュームのある焼き菓子をメインに提供する「Kashiya.K 焼菓子店」をオープンさせる。

Kashiya.K 焼菓子店
創業:2021年11月
住所:山口県下関市羽山町23-5 羽山ハイツ1階
HP:https://kashiya-k.com

約12年間、東京の洋菓子店とカフェでパティシエとして働いていた尾﨑恵子さんは、コロナ禍をきっかけにUターンを決意。2021年に地元・下関市で「手作りのお菓子を日常的に味わってもらう」をコンセプトに掲げた「Kashiya.K 焼菓子店」を創業しました。忙しくも充実した日々を送る尾﨑さんに、創業のきっかけや準備、今度の展望などについてお聞きしました。(取材日 2022年11月14日)

これまでの経歴を教えてください。

地元の高校を卒業後、大阪の製菓専門学校に進学し、1年次は大阪で、2年次は本場フランスでフランス菓子について学びました。その後は、流行の最先端の洋菓子に触れるために約12年間、東京の洋菓子店とカフェでパティシエとして働きました。そして2021年7月にUターンし、11月に「Kashiya.K 焼菓子店」をオープンしました。

いつぐらいから創業しようと思われたんですか?

製菓専門学校で学んでいるときです。そのときからすでに、将来は大好きな地元で自分のお店を開きたいと思っていました。山口県へのUターンを現実的に考えるようになったのは、コロナ禍となった2020年です。外出が制限されたことで、将来について考える時間がだんだんと増えていき、「自分にとって本当に必要なもの、大切なものって何だろう?」と自問自答するようになりました。その結果、今こそが独立するタイミングだという結論に至り、思い切ってUターンすることにしました。

「Kashiya.K 焼菓子店」はどのような店ですか?

誕生日や結婚記念日といった特別な日だけでなく、もっと日常的にお菓子を楽しんでもらいたいという想いから、朝食にも昼食にもおやつにもなる、マフィン、スコーン、タルトといったボリュームのある焼菓子をメインに販売しています。よりおいしくて安全安心なお菓子を提供するために、地元産の卵や牛乳、ミネラル分を多く含むキビ砂糖など、新鮮で健康的な素材を使うのがこだわりです。周辺の洋菓子店でも焼き菓子を販売していますが、そのほとんどが個包装されたギフト用のクッキーやマカロンなので、しっかりと差別化が図れていると思います。

創業にあたって、どのような準備をされましたか?

まずは物件探しから始めました。「スタジオジブリ作品に出てきそうな、森の中に佇む洋菓子店」が理想のイメージとしてあったので、当初は、市街地から離れた奥まった場所ばかりを探していました(笑)。ある日、両親から「 有名店だったらわざわざ車で来てくれるだろうけど、本当に人通りの少ない場所で大丈夫?」と言われて、自分が理想ばかりを追い求めていることに気付かされました。その後は、中心市街地をメインに探し直し、現在の物件に巡り会うことができました。

創業についてどなたかに相談されましたか?

経営コンサルタントをしている知人に相談し、いろいろとアドバイスをいただきました。その知人から「やまぐち暮らし 東京支援センター」を紹介され、移住創業の相談に訪れてみました。スタッフのみなさんが親身になってくださって、とても心強かったですね。また、東京圏から山口県に移住創業する人に支給される移住支援金をはじめ、さまざまな補助制度についても教えていただきました。さらに、相談に乗っていただくなかで(公財)やまぐち産業振興財団とのご縁も生まれ、「やまぐち創業補助金」のことも知ることができました。首都圏から山口県への移住創業をお考えの方には、「やまぐち暮らし 東京支援センター」のご利用をおすすめしたいですね。

創業資金はどのようにして準備されましたか?

創業資金は、自己資金と両親からの借入、(公財)やまぐち産業振興財団の「やまぐち創業補助金」で準備しました。やまぐち創業補助金は、お菓子作りに必要となる厨房機器の購入費として活用させていただきました。

事業計画はどのようにして作成されましたか?

まずは、出店予定地周辺の人口や世帯数などを調べました。次に競合になり得る店をピックアップして、直接足を運んだり、インターネットを活用して販売している商品の種類や単価を調べたりして、お店のコンセプトを固めていきました。コロナ禍ということもあって、客単価、来店頻度、購買率などの数字を予測するのは難しかったですね。また、頭で思い描いているイメージを、正確かつ分かりやすく文章で表現することも大変でした。事業計画書は、経営コンサルタントの知人や、下関商工会議所でご紹介いただいた中小企業診断士からアドバイスをいただきながら作成していきました。何度も何度もチェックしていただいたおかげで、どこに出しても恥ずかしくないクオリティの事業計画書になったと自負しています(笑)

創業後、現在の状況はいかがですか?

おかげさまで、オープンしてからずっと多くのお客さまにご利用いただいており、初年度から想定していた売上を大幅に超えることができました。これもお客様が「おいしかったから友だちに紹介しておいたよ!」と周囲の方々に宣伝してくださったからだと、心から感謝しています。

現在のワークライフバランスはいかがですか?

オープン当初は、店舗を開けていない日も仕入れやお菓子作りに追われ、しっかり休めないという状況が続いていました。それで営業日を1日減らし、金〜日曜の3日間営業に変更したところ、仕事とプライベートのバランスがよくなりました。そのときに、インプットする時間の大切さを実感し、それからは年に3回ほどまとまった休みをとるようにしています。休み期間中には、全国各地の話題のお店やスポットに出かけ、そこで得た刺激を新たなお菓子作りへと活かしています。

創業してよかったと思うことを教えてください。

お客さまから「おいしかったよ!」と、直接声をかけていただけることです。オープンしてからしばらく経ったころ、あるお客さまから「おいしいお菓子を作ってくれてありがとう。ここにお店を作ってくれてありがとう」と書かれたお手紙をいただいたことがありました。そのときは、本当に創業してよかったなと思いました。東京で働いている時よりも、店頭に立つのがとても楽しいです。

今後の目標を教えてください。

自分が作ったお菓子で、より多くの人を笑顔にすることです。もう少し余裕ができたら、インターネット通販にもチャレンジしたいと思っています。そして将来的には、ずっと理想として思い描いてきた、スタジオジブリ作品に出てきそうなお店を森の中にオープンさせ、のんびりと焼き菓子を楽しんでもらえるようにしたいですね!

創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

安定した事業継続のためには、初期投資にお金をかけすぎないことが大切だと思います。最初からすべての理想を叶えようとするのではなく、ある程度実績を積み経営が安定してから、少しずつ夢を実現していくのも一つの方法だと思います。もう一つは、信頼できる人に相談してみることです。私の場合は、相談したことがきっかけで、いろいろなつながりが生まれ、創業への道を開くことができました。まずは一歩、勇気をもって踏みだしてみてください!