創業者紹介
kitchen846
八代谷 寿子
Hisako Yashirotani
吉部米のおいしさ、宇部市の素晴らしさを
キッチンカーを使って発信したい!
夢は吉部にたくさんの人を呼び込むこと
八代谷 寿子38years old
Hisako Yashirotani
兵庫県神戸市出身。旅行で訪れた山口・角島に魅了され、移住を決意。宇部市の地域おこし協力隊として地域活性化に取り組むうちに、吉部米のおいしさをより多くの人に発信したいと考えるように。2019年10月、キッチンカーによる出店と弁当販売の2つを事業とするkitchen846を創業。
kitchen846
創業:2019年10月
住所:宇部市大字東吉部3383
HP:https://www.facebook.com/kitchen846.ube/
これまでの経歴を教えてください。
地元、兵庫県神戸市の高校を卒業後、太陽光発電関連の会社やガソリンスタンド、実家が経営する飲食店などでの勤務を経て、2016年に山口県に移住してきました。そこから3年間、宇部市吉部地区の地域おこし協力隊の隊員を務めました。そして2019年、『カラダよろこぶ、ちゃんとゴハン』をテーマに、吉部米のおにぎりや地元食材を使ったお弁当の販売、キッチンカーでのイベント出店を行う「kitchen846」を創業しました。
どうして山口に移住されたのですか
旅行で山口県を訪れたのがきっかけです。初めて山口に来た時に角島の美しさにすっかり魅了されて…。気がつけば年に3〜4回は山口に来るようになっていました。しかも、来る度に行きたいところがどんどん増えていって。だったらいっそのこと、山口県に移住してしまおうと(笑)。最初は角島周辺で仕事を探していたのですが、希望条件に合う求人は見つかりませんでした。そんなとき、たまたま目にしたテレビ番組で「地域おこし協力隊」のことを知って…。山口県の募集状況を調べてみたところ、幸運なことに宇部市吉部地区が募集をしていました。「地元の生産物などを活用した街おこし」という活動内容に大きな魅力を感じ、すぐに応募することにしました。就任当初は、知り合いが一人もいなくてとても心細かったのですが、地元のみなさんが温かく迎え入れてくださったおかげで、すぐに溶け込むことができました。ついには、地域おこし協力隊の活動とは別に「うべ.com」というグループを立ち上げるほど、宇部のことが大好きになってしまいました(笑)。現在も、SNSでの情報発信や、地域の方と移住者との交流を目的としたイベントを開催するなど、継続して活動を行っています。
創業しようと思ったきっかけは何ですか?
地域おこし協力隊の任期が残り約半年となったある日、初めて味わった時の吉部米の衝撃的なおいしさが脳裏に鮮明に甦ってきて、「吉部米で作ったおにぎりをキッチンカーで販売する!」というアイデアが浮かんできました。「あの特産品を具材に使ったらどうだろう?」「あのイベントに出店するにはどうすればいいんだろう?」とどんどんとイメージが膨らんでいき、これはもう、やるしかないと!(笑)。そこからは急ピッチで、創業に向けての準備を進めていきました。
創業資金はどのようにして準備されましたか?
創業することを急に決めたので、自己資金だけでは全ての費用をまかなうことはできませんでした。そこで、お世話になっていた宇部市役所や宇部商工会議所の方々に創業補助金について教えてもらい、申し込めるものには片っ端から応募してみることにしました。みなさんのサポートのおかげで、(公財)やまぐち産業振興財団のやまぐち創業補助金や宇部市のふるさと起業家支援金などの助成金をいただくことが出来ました。
その他、苦労されたことはありますか?
キッチンカー探しが大変でしたね。最初はインターネットで探していたんですが、なかなか希望に合うものが見つからなくて…。最終的には、宇部市役所の知り合いの知り合いの…と多くの方々のご協力をいただいて、満足のいく車両を手に入れることができました。たった半年の準備期間で創業できたのは、地域のみなさんの優しさやご協力があったからこそ。改めて吉部・宇部のために頑張ろうという想いが強くなりましたね。
事業計画はどのように立てられたのですか?
宇部商工会議所の起業塾に参加したり、スタートアップ・ベンチャー企業を応援する「うべスタートアップ」のサポートを受けたりして事業計画をブラッシュアップしていきました。「収益の安定化を考えて、キッチンカー事業だけでなく、もうひとつ別の柱を作った方がいい」というアドバイスをいただいて、平日はお弁当販売、週末はイベント出店という形へと方向転換をしました。また、宇部市役所や県庁に足を運んで、お弁当についての市場調査も行いました。ある程度の販売個数が見込めたことで、事業計画に対しての自信が少しずつ深まっていきました。
創業してからの失敗や苦労について教えてください。
全てが初めてのことだったので、自分のペースを掴むまではとても大変でした。創業してしばらくは、平日は早朝3時に起床してのお弁当作り、土日祝日はキッチンカーで県内各地のイベントに出店する…という生活を送っていました。みんなの期待に応えたいという想いと、断ったら二度と依頼してもらえないのではという不安から休みをとることなくひたすら働いていました(笑)。だけどある時、「自然に囲まれてゆったりとした時間の中で生活したいと山口に移住してきたはずなのに全く休めていない。この生活に意味はあるんだろうか?」と思ったんです。そこからは働き方を全面的に見直し、「仕込みの日を設ける」「イベント出店の日数を調整する」などルールを作っていきました。そのおかげで今は自分のペースで働くことができています。
現在の状況はいかがでしょう?
新型コロナウイルスで予定していたイベント出店が中止になるなどの影響はありましたが、おかげさまでお弁当事業は事業計画書よりも高い売上を確保することができています。いただいたアドバイスの通りに、収益の柱を二つ作っておいて本当に良かったなと思いました。また、働く時間をコントロールできるようになったことで、理想とする暮らしができるようになりました。創業当初は、日々の業務に追われ、本来やりたかった吉部米のおいしさを伝えることや、調理することの楽しさを見失ってしまうこともありましたが、現在は精神的にもゆとりができ、毎日イキイキと過ごせています。
創業してよかったことは何ですか?
「人の役に立っている」「誰かに必要とされている」「社会貢献できている」など、自分の存在意義を直接的に感じられるようになったことでしょうか。自分の作ったもので誰かが笑顔になってくれることがとても嬉しくて、いろいろな事に対して明るく前向きに取り組めるようになったと思います。これからも地域に必要とされる存在でいられるように、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいですね!
今後の展開や目標を教えてください。
調理場の前の空スペースに、キッチンカーを使ったオープンカフェを開く準備を進めています。「汚れた作業着のままだと飲食店に入るのに躊躇してしまう」という地元の農家のみなさんの声を聞き、気軽に立ち寄れる交流スペースを作ろうと以前から計画していました。イベント出店した際に、「日頃はどこで食べられるの?」と聞かれることも多くなってきたので、ちょうどいいタイミングなのかなと思っています。オープンカフェが完成したら、イベント時に販売している地元の酒造「永山本家酒造場」の酒粕を使った粕汁や、その時々の季節のメニューの提供を予定しています。オープンカフェをきっかけに、一人でも多くの方が吉部まで足を運んでくれるようになったら嬉しいですね。
現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。
私の場合は準備期間がとても短かかったので、かなりバタバタしてしまいました。みなさんにはしっかりと時間をかけて計画と準備をすることをお勧めしたいですね。あとは、いろいろな人に相談をして、たくさんの意見をいただくのも良いと思います。自分では思いつかないような視点に気づかされたり、キーパーソンを紹介してもらえたりと、いいことがたくさんありますよ。また、私は地域おこし協力隊でのご縁のおかげで、本当にたくさんの方々からご支援をいただくことができました。みなさんもどうぞいただいたご縁を大切にして、夢の実現に向けて頑張ってください!