創業者紹介

ドッグサロン Ohana

菅野 まゆ美

Mayumi Sugano

お客様一人ひとりと向き合い、
人と人とのつながりを大事にしたお店でありたい

菅野 まゆ美40years old

Mayumi Sugano

周南市生まれの35歳。高校を卒業後、舞台照明の専門学校へ進学するために上京して学ぶが、過酷な労働環境に対応する自信がもてなくなり、照明の仕事をすることは断念。その後、プロトリマーになるために、アルバイトをしながらビジネススクールで2年間学ぶ。ペットサロンや動物病院で経験を重ねたのち、子育て環境を考え、2008年に周南市にUターン。防府市や周南市のペットショップで働いた後、2017年9月に「ドッグサロン Ohana」をオープン。
 
ドッグサロン Ohana
創業:2017年9月
住所:周南市青山町5‐24
HP: https://www.happy-ohana.com/

ドッグサロンや動物病院で、ペットトリマーとして働いていた菅野さん。2008年に周南市へUターン後、独立に向けて少しずつ準備を進め、ついに2017年9月に念願のドッグサロンをオープンさせました。永年の夢を現実にした菅野さんに、オープンに向けての準備や今後の目標などについて、お聞きしました。

これまでの経歴を教えてください。

映画・テレビ・舞台などの照明の仕事をやりたくて、高校を卒業後、東京の専門学校に進学しました。でも、さまざまなことを学び進めていくうちに、過酷な労働環境に対応する自信がもてなくなっていってしまって、その夢は断念してしまいました…。その後は、動物に関わる仕事をするという、もう一つの夢を叶えるために、アルバイトをしながらビジネススクールに2年間通って、ペットトリマーの資格を取得しました。資格を取得してからは、ペットサロンや動物病院などに勤務して、さまざまな知識と技術を身につけました。そして、自分が育った、自然が豊かな環境で子どもを育てていきたいと思うようになり、2008年に周南市へUターンしました。

創業に向けて、どのような準備をされましたか?

Uターンをしたときから、いつかはペットトリマーとして自分のお店を持ちたいなと、漠然と考えていました。トリマーという仕事は、ずっと立ちっぱなしで、体力的にもかなりキツイ仕事です。なので、独立をして、自分のペースで働こうと考える方が多いように思います。私が独立しようと考えた一番の理由は、子どもに寂しい思いをさせたくないということでした。当時は、子どもを保育園に預けながら働いていて、保育園の行事がある時には、お休みをいただいて、できるだけ参加するようにしていました。でも、行事は週末にあることが多くて、お店が忙しい週末にお休みをいただくことが次第に心苦しくなってきました。自分のお店だったら、スケジュール調整も比較的自由にできて、子どもの行事に参加しやすいのではと考えて、独立することを決め、動き始めました。でも、独立しようと決めたものの、何から進めていけばいいのかが全く分かりませんでした。そこで、自営業をしている親のススメもあって、新南陽商工会議所に相談しに行くことにしました。そこで担当者の方から「まず店舗を探してください」とのアドバイスをいただいて、物件を探し始めました。

創業前の準備で苦労されたことは何ですか?

店舗探しに思っていたよりも時間がかかったことですね。気になった物件はあったのですが、どれも想定していた家賃よりも高くて…。なかなか希望に合う物件は見つかりませんでした。それでも焦ることなく探し続けていたら、雑貨屋をしていた知り合いから「あなたがここでやるのであれば、自分はこの店を閉じようかなと思っている」というお話をいただきました。確か2017年1月のことだったと思います。メイン通りから少し奥に入っていましたが、イメージにピッタリくる広さでした。しかも、元々は美容室だったところなので、ドッグサロンをするために欠かせない内壁の防水工事は行う必要がありましたが、大掛かりな工事をする必要はありませんでした。そのうえ、家賃もビックリするほど安くて! こんな良い条件が重なることはもう二度とないだろうと思って、思いきって挑戦することを決めました。焦らずに探し続けてきて、本当に良かったなと思いました。2017年の7月から改装に着工して、2017年の9月にオープンしました。

創業資金はどうやって準備されたのですか?

周南にUターンしてから9年間、独立に向けて少しずつ準備をしていた自己資金と、国民生活金融公庫からの借入でまかないました。事業計画書の作成は、初めてのことだったので苦労しましたが、新南陽商工会議所の方が親切丁寧にアドバイスをしてくださり、おかげで無事に融資を受けることができました。

事業計画書を作ったときに苦労されたこと、役立ったことがありますか?

事業計画書を作る上で特に難しかったのは、借入の返済計画に必要だった売上の予測です。いくら売り上げられるのか、確信を持てず、悩みましたが、時間をかけて計算し、新南陽商工会議所の方からアドバイスもいただいて仕上げました。売上を予測したことは、“今月はもう少し売上を増やさないと…”とか、“今月は目標通り”といったふうに毎月の売上の目安になり、とても役に立ちました。また、事業計画書には、お店の強みは何なのかを書く必要がありました。そこで私は、県内でも施術を行っているところが少なかった、シャンプーでは取りきれない毛穴の汚れをスッキリと落とせるサービスを、オプションとして提供することを自分の店の強みとしました。東京でトリマーとして動物病院に勤めていたときの経験が役に立ちましたね。

お店の宣伝はどのようにされましたか?

通りから一歩奥に入った場所にあってわかりづらいので、オープンのときには地元の情報紙に広告を掲載しました。また、カットしたワンちゃんの姿をインスタグラムにアップするようになってからは、「インスタを見たんですが…」と言って来てくださる方が増えてきています。また、お客様の方からも「インスタにアップしてください!」とおっしゃる方も多いですね。

創業して良かったことはありますか?

私を信頼して通ってきてくださる、たくさんのお客様に出会えたことです。中には、以前勤めていたお店のときからのお客様で、遠くのまちから、毎月、ご来店して下さる方も何人かおられます。遠くからでも通ってきてくださるというのは、とてもありがたいですね。その信頼に応え続けないといけないというプレッシャーはありますが、それ以上にやりがいにつながっています。東京で勤めていた大型店では、1日にたくさんのワンちゃんのトリミングをしないといけなくて、どうしても、仕事が流れ作業になりがちでした…。でも、今はお客様一人ひとりときちんと向き合って、トリミングだけでなく、ワンちゃんの相談にのることもできているように思います。また、ありがたいことに、お客様からの紹介で、毎月、新しいお客様が来てくださっています。これからも、お客様一人ひとりとしっかりと向きあって、丁寧な仕事をしていければと思います。

現在の状況はいかがですか?

お店は忙しいものの、起業前と比べると、子どもとの時間は自由につくれるようになり、毎日がとても充実しています。おかげさまで、去年から始めたワンちゃんのエステが大変好評で、ずっと先まで予約が埋まっているという状況です。売上は、創業前の計画よりもかなり上振れしています。予想外だったのは、忙しくなりすぎて、スタッフを1名採用したことですね。もともと私は大きなお店をするつもりはなく、小さな店で、自分一人でやっていくつもりだったんですが、以前、同じところで働いていた女性が、私と一緒に働きたいと言ってくれたこともあり、スタッフとして加わってもらいました。これからの目標は、月による売上の波をできるだけ小さくして、経営を安定させていくことですね!

最後に、現在、創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

まずは、商工会議所などの専門機関に相談に行かれるといいと思います。また、異業種から参入するよりも、自分の経験を生かして起業する方が、成功する確率は高くなると思います。将来的に独立を考えていらっしゃる方は、できるだけ早くから準備をすることをオススメしたいですね。頑張ってください。