創業者紹介

萩侍

中元 義詮

Yoshiaki Nakamoto

歴史好き、侍好きが導いた縁から
萩市で念願のお好み焼き店を創業。
目標は一人で末永く経営すること。

中元 義詮29years old

Yoshiaki Nakamoto

広島県三原市出身。高校を卒業後、4年半会社員として働き、その後、宮島で人力車の俥夫に。インターネットで見つけた侍パフォーマーに応募し、採用されたことをきっかけに萩市に移住。任期終了後、地元に戻り、一人でできる仕事を目指していろんなジャンルの飲食店で料理の腕を身につけ、2016年11月、萩市でお好み焼き店「萩侍」を創業。
 
萩侍
創業:2016年11月
住所:萩市吉田町76
HP:https://okonomiyaki-restaurant-304.business.site/
インスタ:https://www.instagram.com/hagi_samurai/

地元の高校を卒業後、一般企業に就職した中元義詮さんは、人間関係のストレスから退職。かねてからの歴史・侍好きが高じて宮島で人力車の俥夫をした後、萩市の侍パフォーマーに転職。任期終了後は一旦三原市にUターンしましたが、数年後、萩市にIターンし、お好み焼き店「萩侍」をオープンしました。トレードマークの着物姿の中元さんに、創業を決めた理由や創業前の準備、現在の状況やこれからの目標などについてお聞きしました。

これまでの経歴を教えてください。

地元・広島県の高校を卒業後、製造業に就職しました。しかし、社内の人間関係に疲れて約4年半で退職。その後は、宮島で人力車の俥夫をしていました。そんな時に、萩市が侍パフォーマーを募集していることを知って応募したところ、運よく採用が決まりました。それで、2013年末から2014年3月末まで、萩市に移住して侍パフォーマーを務めました。短い期間ではありましたが、大好きな侍の姿で、萩市を訪れた観光客の皆さんをご案内するのは本当に楽しかったです。その後は三原市に戻りましたが、人間関係に悩んだ経験とマイペースな自分の性格から、企業への再就職は全く考えられませんでした。そして「一人でできる仕事は何だろう?」と考えていく中で、「飲食店経営」が思い浮かびました。それから、いろいろなジャンルのお店を掛け持ちして料理の技術を学び、その中から、自分に最も向いていそうな、お好み焼き店を創業することにしました。

創業の地に萩を選んだ理由は?

地元の店で修業した味を地元で提供するよりも、違う土地でやった方が面白いかなと思って(笑)。だったら、以前に住んだことがある萩市がいいかなと。萩で出会った人たちは、自分で事業をされている方やIターンして創業された方など、サラリーマン時代には絶対に出会えない面白い人ばかりで私の目にはとても新鮮に映っていましたし、萩は三原市に比べて観光客が多く、自分の好きな歴史も色濃く残っていますので街自体にも魅力を感じました。また、広島出身というのを前面に出すことで、本場の味がイメージづけられ、他のお店との差別化も十分に図れると考えました。

創業に向けてどのような準備をされましたか?

まずは、ソース会社が展開する「お好み焼き店開業サポート」を利用し、改めて鉄板での技術指導を受け、設備の知識や経営ノウハウを学びました。さまざまなことを学んだ後、できるだけ故郷の味を持ち込みたいと、三原特有のテングソースと尾道の麺を使ったお好み焼きに加え、広島のお酒やジュースを提供することにしました。物件は、探し始めて一ヶ月も経たないうちに決めましたが、自分だけで探していたらもっと時間がかかっていたと思います。最初は自転車に乗ってあちこちを回りましたが、萩市は「テナント募集」といった看板があまり出ていないんです。なので、現在の店舗は、友人や知人に条件を伝えて紹介してもらいました。ここは居抜き物件で、カウンターテーブルや照明がそのまま使える状態でした。他にもいくつか候補はあったのですが、改装費用を抑えられることが一番の決め手になりました。それに、以前住んでいた時に通っていたバーも近くにあったので、いろいろと相談できるかなというのもありましたね(笑)。

創業資金はどのように準備されたのですか?

当初は、銀行からの借入や萩市の補助金を利用して、広島ではおなじみの鉄板付きカウンターに改装しようと思っていました。でも冷静になって考えたら、広島とは違い、萩ではヘラを使って鉄板から直接お好み焼きを食べる文化がないんですよね(笑)。そこで、思い切ってカウンター周りの改装を見直すことにしました。そのおかげで初期投資額が大幅に減り、全て自己資金でまかなうことができました。創業時に借入をしたとしても、「できれば追加の借入はしたくない。軌道に乗るまでの回転資金はサラリーマン時代の蓄えでどうにかしたい」と考えていたので、初期投資額が抑えられたのは本当に心強かったです。

創業後、事業は順調でしたか?

「認知度を上げるために昼も営業をやった方がいい」という萩商工会議所の方のアドバイスもあり、創業から1年間は昼も夜も営業しました。開店バブルもあったとは思いますが、おかげさまで多くのお客様がご来店くださり、毎日が充実していました。ただし環境に慣れるまでは、体力的にはかなりキツかったですね(笑)。現在は体力面を考慮して、営業時間を18:00から深夜1時までに変更しています。 実際に開店してみて想像と違っていたところは、思ったよりもお酒が出なかったことです。お好み焼きが焼き上がるまでに15〜20分かかるので、広島ではその間にお酒を飲み始めることが多かったり、お好み焼き自体がお酒の肴だったりするんですよ。けれど、山口ではお好み焼きはあくまで「食事」なんですよね。「軽くつまめる鉄板料理を増やした方がいいよ」というアドバイスももらったのですが、その頃はまだ一人で回す自信がなくて、すぐには取り組めませんでした。昼の営業を辞めたことで、次第にペースが掴めるようになり、それから少しずつ鉄板料理を増やしていき、今ではお好み焼き以外にも10種以上のメニューを提供しています。 開業してから約2年半が経過しましたが、確定申告の時など困ったことがあった時には、今でも萩商工会議所の方に相談をさせていただいています。

現在の状況はいかがですか?

今年の4月、5月あたりからやっと経営が安定してきたな、という感じです。お好み焼き以外のメニューがあることも浸透してお酒も出るようになりました。 常連のお客さまに長く愛着していただけるよう特別なキャンペーンやイベントはできる限り取り入れず、いつも変わらない平常営業を心がけていますが、11月の周年イベントだけは毎回力を注いでいます。萩侍の周年イベントはよくあるドリンクサービスや割引などではなく、毎回異なる料理人とコラボして特別なメニューを提供しています。どうせやるんだったら他がやっていないようなイベントに挑戦したくて。お招きする料理人を目当てに来店されるお客さまも結構いらっしゃって、そこから萩侍の常連になってくださることもあります。新しい出会いがある周年イベントを一番楽しみにしているのは、お客さまじゃなくてきっと私ですね(笑)。

「これは失敗だったな」ということはありますか?

メニューを増やすタイミングや宣伝広告について、もっと具体的に計画を立てておくべきだったと反省しています。「お好み焼き以外のメニューは慣れてきてから増やしていこう」くらいのふんわりとした考えだったのでタイミングを逃し続け、さらに、メニューが増えた時には、すでに「お好み焼きしかないお店」というイメージが定着してしまっていて…。きちんとしたプランがあれば、メニューが増える告知ができたり、「このタイミングで広告を出そう!」など戦略が立てられて、もう少し早く周知できたと思います。しばらくぶりに来たお客さんに「お好み焼き以外もあるんだ〜」と言われて、失敗だったなと感じました。

現在のワークライフバランスはいかがですか?

サラリーマン時代と比較すると、人間関係のストレスから解放され、精神的はすごくいい状態ですね。また、夜のみの営業にしてからは体力的にも随分と楽になりました。年間を通じた来客数の波も掴めて来たので、忙しい時期にはしっかりと働き、落ち着いた時期にはしっかりと休むというふうにペースもできてきました。今は、精神的にも体力的にも非常にいいバランスだと思っています。また「萩には締めに寄れるお店が少ない!」という声をよく聞くので、今のペースを守りながら、できる限り要望にお応えしていきたいですね。

今後の目標を教えてください。

年々増えている外国人のお客さまにも楽しんでいただけるように、英語表記のメニュー作りにはできるだけ早く取り組みたいですね。それと、今後もスタッフを入れる予定はないので、食洗機などの新しい厨房機器を入れたり、調理場の動線を整えたりなどして一人で効率よく働けるように環境を改善して、お客さまによりきめ細かなサービスを提供していければと考えています。最終的な目標は、「一人でずっと長く継続していく」なので、それに向かってブレずに進んでいきたいですね。

創業して良かったことは何ですか?

何より「一人でできる」ということです。まあ、良くなるのも悪くなるのも全て自分次第にはなりますが(笑)。ただ、売上が伸びた時やイベントが成功した時の喜びはひとしおですね。会社員時代に比べて責任感も出てきたように思います。それと、外国人旅行客や日本人観光客、出張のたびに来てくださるお客さまと出会えたことも、創業しなければあり得なかったことです。会社員では絶対に経験できないことが本当に数多くあり、人生にメリハリができたと感じています。

創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。

自分の意思をしっかりと持つことです。創業前も創業してからも、いろんな人からたくさんのアドバイスをいただくと思いますが、取り入れるのは自分が本当に納得のいったものにするべきだと思います。あまりにも他人の意見に左右されすぎたら、それはもはや「自分の店」とは言えなくなりますから。それと、私のようにIターンで創業する場合、最初から誰かに頼ろうとするのではなく、まずは自分自身がしっかり努力すること、動くことをお勧めします。もう無理だと思ったら頼る決断も必要ですが、一番は地元の方々に本気さや真剣さを伝えることが大切で、伝えることで初めて受け入れてもらえて、応援してもらえるようになります。「自分はこれをやるんだ!」という気持ちがあればきっと大丈夫です。ぜひチャレンジしてみてください。